日本古来のコウゾ,ミツマタ,ガンピを使い,ねりを加えて作る和紙以外の紙の総称。ただし板紙は除く。木材パルプまたは綿や麻などを主原料とし,これに塡料,サイズ剤,紙力増強剤,歩留り助剤,染料などの一部または全部を加えて抄造した紙で,明治時代になって従来の手すき和紙に代わって外国から技術や機械を導入して抄紙したということから洋紙と呼ばれる。日本における洋紙の生産は1874年有恒社が綿ぼろを原料として作ったのが初めであり,徐々に生産量が増加したが,洋紙の生産量が和紙のそれを超えたのは1913年以降である。用紙の種類はきわめて多く,単一品種で最も多いのは新聞用紙である。そのほかに印刷用紙,筆記図画用紙,薄葉紙,家庭用薄葉紙,雑種紙などに分類される。薄葉紙のなかには機械すき和紙に含まれる品種もあるので,洋紙の定義もそれほど厳密ではない。
→紙
執筆者:臼田 誠人
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海路伝来してきた紙を意味するが、普通はヨーロッパ伝来の製紙法により木材パルプを機械で抄(す)いた紙をいう。古代中国で発明された紙は麻ぼろなどから得た長繊維パルプから手すき技術によって製造されていたが、ヨーロッパに渡り抄紙機械が発明され、木材パルプを用い大量生産が可能な洋紙となった。日本では現在、紙および板紙のほとんどが洋紙である。なお、伝統的和紙の原料となる三椏(みつまた)パルプ、雁皮(がんぴ)パルプのほか麻パルプなどの長繊維パルプを機械で抄いた和紙風の薄葉紙(うすようし)や、場合によっては木材パルプを主原料として機械で抄いて図面の複写用の薄葉紙に仕上げたものは、機械抄き和紙として取り扱われる。
[御田昭雄 2016年4月18日]
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…そこで,新たな国内市場として注目されたのが,学校であった。おりしも日本の洋紙工業は,鉛筆とまったく軌を一つにして,1900年代から本格的量産体制に入り,10年代には和紙生産量を追い抜いて海外へ輸出するようになり,国内でも輸入洋紙に代わる安価な国産洋紙が豊富に用いられるようになった。学校でも,高価な手すき和紙に代わって安価な洋紙(ザラ紙)とその洋紙をとじ合わせた雑記帳(子ども用ノートブック)が使用されはじめており,この洋紙と筆記具としての鉛筆とが結びつくことにより,子どもの学習はきわめて大きな変貌をとげることになった。…
…化学繊維やフィルムから作った紙も定義から外れるが,紙と同じ用途にあてる紙に類似したものは合成紙と呼ばれている。製紙工業では紙を紙(洋紙および和紙)と板紙に分けて規定しており,日本における両者の生産割合はほぼ55:45である。紙と板紙の区別は厳密ではないが,紙は薄く柔らかく,板紙は厚く硬いもので通常120~130g/m2以上の紙をいい,アメリカでは厚さ0.3mm以上,ドイツでは400g/m2以上の紙を板紙に分類している。…
※「洋紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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