山川 世界史小辞典 改訂新版 「インド〔国名〕」の解説
インド〔国名〕
India
南アジアの大国。13世紀以降,イスラーム諸王朝の支配が北インドで確立。16世紀末からムガル帝国が勢力を得たが,19世紀中頃にはイギリスの植民地となる。1947年にパキスタンと別れて分離独立。人種的にはインド・アーリヤ系,ドラヴィダ系が多数を占めるが,モンゴロイド系なども混じりきわめて複雑な民族,言語構成をとる。ヒンドゥー教徒が約83%。伝統的な社会秩序は衰退しつつあるが,カースト制度は実際上残存する。連邦制をとり,中央は二院制,29の州および6の連邦直轄領は二院制または一院制をとる。首都ニューデリー。独立以来75~77年の非常事態宣言期を除き議会制民主主義が維持され,80年代末までほとんどの期間,国民会議派が中央政権を保持。90年代以降は多党化が進展し,インド人民党や地域政党などによる連合政権が常態となった。志願制の軍隊を持ち,兵員は約130万。74,98年の核実験で核能力を内外に示した。公的部門優先政策を行ってきたが,91年以降は経済自由化に転換した。外交的には50年代以降非同盟運動を進めたが,冷戦の崩壊後,自由化を進めるためもあって欧米との良好な関係の維持に努めている。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報