改訂新版 世界大百科事典 「ウィティヒ反応」の意味・わかりやすい解説
ウィティヒ反応 (ウィティヒはんのう)
Wittig reaction
リン化合物(ホスホランまたはホスホニウム)のイリドを用いて,アルデヒドまたはケトンのカルボニル(C=O)をメチレン(C=CHR,Rは種々の置換基)に変換する反応。発見者である西ドイツのウィティヒGeorg Wittig(1897-1987)にちなんでウィティヒ反応またはビッティヒ反応と呼ばれる。それまでケトンやアルデヒドのカルボニル基をC=CHRに1段階で変える反応はなかったが,ウィティヒ反応によってそれが可能となり,ウィティヒは1979年ノーベル化学賞を受賞した。反応は式に示すように,リンイリド(1)とカルボニル化合物を適当な有機溶媒(ベンゼンがよく使われる)中で加熱すると,生成物(2)が80~100%の収率で生成し,ホスフィンオキシド(3)が副生する。
エステルのカルボニル基は反応しない。立体障害の大きいケトンでは反応が進行しにくい。Rとしては,アルキル基,アリール基,-CO2CH3,-CN,-OCH3など種々の有機基の導入が可能である。
執筆者:友田 修司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報