ウィルト(読み)うぃると(その他表記)Josef Wirth

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィルト」の意味・わかりやすい解説

ウィルト
うぃると
Josef Wirth
(1879―1956)

ドイツの政治家。カトリック中央党に属し、1913年邦議員、1914年帝国議会議員、ドイツ革命後、バーデン州蔵相を経て、1920年3月中央政府の蔵相となり、税制改革を推進した。1921年5月首相となり、賠償問題に取り組み、ラーテナウ助言を得て「履行政策」を実行した。しかし、右派の攻撃を浴び、インフレ対応への無策から国内の政治的統合に失敗、ラーテナウは極右派に暗殺された。このときウィルトが「敵は右にいる」Der Feind steht rechts.と叫んだことばは共和国を象徴するものとして有名になった。1922年4月、当時のソ連ラパロ条約を結んで国交を開いたが、11月退陣した。1929年から1931年にも内相などを歴任、1945年以後はドイツ統一と対ソ友好を唱え、1955年スターリン平和賞を受賞した。

[木村靖二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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