改訂新版 世界大百科事典 の解説
ウェスティングハウス・エレクトリック[会社]
Westinghouse Electric Corporation
ゼネラル・エレクトリック社(GE)に次ぐアメリカ第2位の総合電機メーカー。略称WH。本社ピッツバーグ。発明家G.ウェスティングハウスが,交流配電の将来性を予見して1886年1月に創立。エジソン社の直流方式に対抗して同年秋に最初の交流中央発電所をバッファローに設立し,交流の優位性を立証した。91年には同社の交流システムによる発電所数は350にのぼり,業界内に確たる位置を占めた。通信関係では古くからのライバルGEに立ち遅れていたが,1917年に子会社の国際ラジオ電信会社(のちにアールシーエー(RCA)の母体の一つとなる)を設立し,第1次大戦中連合軍のために無線設備を製作。戦後は20年に同社技師コンラッドの指導のもとに世界最初のラジオ放送局KDKAを設立した。第2次大戦後いち早く原子力部門を設け,53年12月のアイゼンハワー大統領の原子力平和利用提案によって政府の原子力産業育成が明確になると,GEとともに原子力部門の強化を進めた。同社の原発プラントは“核燃料供給付き”ということで好調に受注をのばし,75年央にはプラント受注残が200基に達した。95年CBS Inc.を買収するなど放送事業を積極展開し,原子力を除く発電部門をドイツのジーメンス社に売却した。99年には原子力発電部門をイギリス核燃料会社(BNFL)に売却した。なお,2006年日本の東芝がBNFL傘下のウェスティングハウス原子力発電部門を買収することが決定した。
執筆者:青木 良三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報