日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウメスカシクロバ」の意味・わかりやすい解説
ウメスカシクロバ
うめすかしくろば / 梅透黒翅蛾
[学] Illiberis rotundata
昆虫綱鱗翅(りんし)目マダラガ科に属するガ。はねの開張23ミリメートル内外の小形種。はねは透明であるが、翅脈上と前ばねの基部などが黒い。体は黒色を帯びるが多少青色の輝きがある。初夏に出現し、昼間活動する。よくウメにつくので、ウメクンガ(梅薫蛾)の俗称もある。幼虫はハラアカ、コシダカケムシともよばれ、ウメ、モモ、サクラ、アンズ、スモモなどの葉を食べる害虫。夏の終わりに孵化(ふか)した幼虫は、若齢で木の割れ目などに潜んで越冬し、春には新芽を、開葉すれば葉を食べて晩春に葉裏で蛹化(ようか)する。幼虫には毒針毛があるので触れると痛みを覚える。北海道、本州、対馬(つしま)およびシベリア東部に分布し、平地にすむ。
[井上 寛]