晩春(読み)ばんしゅん

  • 映画

デジタル大辞泉の解説

春の終わり。春の末。 春》「―の瀬瀬のしろきをあはれとす/誓子
陰暦3月の異称。
[補説]作品名別項。→晩春
小津安二郎監督による映画の題名。昭和24年(1949)公開。原作広津和郎小説「父と娘」。嫁ぐ娘と父の複雑な心情を描く。出演、笠智衆原節子ほか。第23回キネマ旬報ベストテンの日本映画ベストワン作品。第4回毎日映画コンクール日本映画大賞受賞

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百科事典マイペディアの解説

松竹映画。1949年作。監督は小津安二郎。撮影は小津と名コンビを組んだ厚田雄春(ゆうはる)〔1905-1992〕。広津和郎の《父と娘》を野田高梧〔1893-1968〕,小津が脚色。再婚を決意したと偽って娘を嫁がせようとする父親と娘の愛情と心理が洗練されたタッチで表現されている。笠智衆原節子主演。

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デジタル大辞泉プラスの解説

1949年公開の日本映画。監督・脚色:小津安二郎、原作:広津和郎、脚色:野田高梧、撮影:厚田雄春。出演:笠智衆、原節子、杉村春子、宇佐美淳、三宅邦子月丘夢路、三島雅夫ほか。第23回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画ベスト・ワン作品。第4回毎日映画コンクール日本映画大賞、監督賞、脚本賞、女優演技賞(原節子)受賞。

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世界大百科事典 第2版の解説

1949年製作の小津安二郎監督による松竹大船作品。黒白・スタンダード。戦後の小津が脚本家の野田高梧(1893‐1968)と組んで原節子を初めて主演に迎えた記念すべき作品。撮影は小津との名コンビで知られる厚田雄春(ゆうはる)(1905‐92)で,笠智衆(1904‐93)が婚期の娘をもつやもめの父親役という戦後の小津映画のパターンを作った。父と娘との近親相姦的とも思える愛情を端正な画調で巧みに緩和し,あたかも欲望を超越したかのごとき雰囲気を出すことに成功した小津は,《父ありき》(1942)以来の片親の主題を,のちに《秋日和》(1960),《秋刀魚の味》(1962)などで変奏する基礎を築いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

日本映画。1949年(昭和24)、小津安二郎(おづやすじろう)監督。原作は広津和郎(ひろつかずお)。大学教授の周吉(笠智衆(りゅうちしゅう))は婚期を逃しかけている娘紀子(原節子(はらせつこ))の結婚を望むが、彼女にその気はない。そこで周吉は再婚するという嘘をついて娘を結婚させる。第二次世界大戦前の小津は庶民を描くことを得意とし、高い評価を得ていた。だが本作の世界は製作当時の貧しい社会状況と隔絶しており、これ以降の小津作品は比較的豊かな家庭を描く傾向に変わっていく。また、原節子は小津作品で重要な位置を占める女優であるが、原にとって本作が小津作品への初出演となる。小津の作品歴における転換点といえる作品であり、彼の戦後の傑作群の先駆けとなる作品である。

[石塚洋史]

『『世界の映画作家31 日本映画史』(1976・キネマ旬報社)』『『映画史上ベスト200シリーズ 日本映画200』(1982・キネマ旬報社)』『高橋治著『絢爛たる影絵――小津安二郎』(1982・文芸春秋)』『佐藤忠男著『日本映画史2、3、4』増補版(2006・岩波書店)』『猪俣勝人・田山力哉著『日本映画作家全史 上』(社会思想社・現代教養文庫)』『文芸春秋編『日本映画ベスト150――大アンケートによる』(文春文庫ビジュアル版)』『浜野保樹著『小津安二郎』(岩波新書)』『佐藤忠男著『完本 小津安二郎の芸術』(朝日文庫)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 春の末。春の終わりかた。暮春。《季・春》
※菅家文草(900頃)三「晩春遊松山館」 〔枚乗‐梁王菟園賦〕
② 陰暦三月の異称。
※万葉(8C後)一七・三九七三・題詞「七言晩春三日遊覧一首并序」 〔梁元帝纂要〕

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世界大百科事典内の晩春の言及

【小津安二郎】より

…茂原英雄によるトーキー技術の開発を待ってサイレントを撮り続けたが,《一人息子》(1936)で音響の世界に接し,大船の新撮影所で,新たなカメラマン厚田雄春とともに《戸田家の兄妹》(1941)や《父ありき》(1942)で〈小津調〉を確立。戦後は笠智衆と原節子とを主演に迎えた《晩春》(1949),《麦秋》(1951),《東京物語》(1953)が名高いが,いずれも野田高梧との共同脚本。カラー時代に入っての《彼岸花》(1958)や《秋日和》(1960)では物語性が極度に希薄となり純粋な抽象性に近づくが,同時にかつての大学生が会社重役や大学教授となって登場してナンセンス喜劇の味を回復する。…

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