改訂新版 世界大百科事典 「エオバクテリウム」の意味・わかりやすい解説
エオバクテリウム
Eobacterium isolatum
南アフリカのバーバートン地方に分布する始生代のスワートコッピー累層から発見されたバクテリアの化石。この地層はオンフェルワクト層群最上部にあたり,その地質年代は31億年前とされている。エオはギリシア語の暁,原始に由来し,最古のバクテリアの意。E.S.バーグホーン,J.W.ショップの命名で(1966),その報告ではフィグツリー層群から産出したと記載されているが,後にショップが上記のように訂正している。この化石はチャート中から電子顕微鏡で見いだされた0.5~0.7×0.2~0.3μmの大きさの化石で,杆状をしたバシルス型のバクテリアと考えられている。エオバクテリウムの化石とともに,チャートに刻まれたその印象化石が認められることや,0.015μmの厚さの細胞壁の断面が電子顕微鏡で認められたことによって,始生代の確実な化石であるとされている。
執筆者:秋山 雅彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報