改訂新版 世界大百科事典 の解説
エクステンション・テーブル
extension table
必要に応じてテーブル面を長くすることが可能な構造をもつテーブル。主に食堂で使う。テーブルは甲板が3枚に分割され,左右の2枚は中央の甲板の下にたたまれる。2枚の板を左右に引き伸ばすと細い持ち送りがそれらを中央の甲板と同一面にし,大型のダイニングテーブルに変わる。ドロー・テーブルdraw-tableともよぶ。中世僧院の食堂などで使われていた簡素な大型テーブル(レフェクトリー・テーブルrefectory table)の形式を基本とし,16世紀初期にイギリス,フランスおよびイタリアで流行した。イギリスでは最も発展したジャコビアン期(17世紀前半)にはオーク材で作られ,テーブルの脚部は螺旋形となり,甲板下の台の周囲にはアカンサスの透し彫がほどこされた。しかし17世紀後期になると,大広間で多人数で食事をとる風習はすたれ,かわって家族たちだけが小部屋で食事をとるようになる。そこで,人数に応じてテーブルの大きさを調節できる小型のゲートレッグ・テーブルgateleg table(開閉脚によって折りたたみ部分の甲板を支える)が人気を博し今日に至っている。
執筆者:鍵和田 務
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報