アカンサス(読み)あかんさす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカンサス」の意味・わかりやすい解説

アカンサス
あかんさす
[学] Acanthus

キツネノマゴ科(APG分類:キツネノマゴ科)ハアザミ属の総称多年草あるいは小低木で、ヨーロッパ南部に約20種分布する。代表的な種類にハアザミA. mollis L.があり、庭園用として植栽される。葉はアザミに似て長さ約60センチメートル、幅30センチメートルのつやのあるみごとな根出葉で、8~9月ごろその中心より約1メートルの花穂を伸ばし、紫を帯びた白色唇形花を穂状につける。ごくじょうぶな多年草であるが、耐寒性がやや劣り、東京地方では戸外でも越冬するが、寒い年は霜よけか土寄せをしないと凍死する。繁殖は4~5月ごろに株分けする。

 本種の葉は造形的で美しく、ヨーロッパでは古代ギリシアおよびローマコリント式やコンポジット式建築の柱冠の装飾に、アカンサス葉飾りとして図案化されている。

[神田敬二 2021年10月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカンサス」の意味・わかりやすい解説

アカンサス
Acanthus mollis; acanthus

キツネノマゴ科の多年草で,南ヨーロッパ原産。日本ではハアザミと呼ばれる。アザミに似た深い切れ込みのある羽状の大きな葉は光沢があって常緑草丈は約 1m,花茎はさらに高く伸び,長い花穂をつける。包葉は緑白色,萼は紫色,花は唇形で淡いピンク色である。大型の植物であるから広い芝生などに植えると,芝とよく釣合って美しい。ローマ時代から庭園に植えられ,葉の図案化されたアカンサス文 (もん) がコリント様式の柱の飾りにみられる。

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