エノコロフサカツギ(読み)えのころふさかつぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エノコロフサカツギ」の意味・わかりやすい解説

エノコロフサカツギ
えのころふさかつぎ / 狗尾総被衣
[学] Atubaria heterolopha

半索動物門翼鰓(よくさい)綱頭盤虫科に属する海産小動物。体を包む棲管(せいかん)をまったくもたない。本体は頭盤、頸(くび)、躯幹(くかん)からなり、長さ約1ミリメートル、その2~3倍の長さの細長い柄部を後端に備える。単独性で、生時はチョコレート色。頭盤は楯(たて)状で屈曲自在、頸部(けいぶ)前端に大きく開く口を覆う。頸は短く、背側に4対の触手腕(各腕には、中軸の各側に糸状の触手が一列に生える)をもつが、未熟個体では触手を欠き、中軸だけの腕が1対あるのみである。本体の大部分を占める躯幹はソラマメ状で、1対の生殖腺(せいしょくせん)とU字形の消化管とを含む。肛門(こうもん)は躯幹前背部に開き、1対の生殖孔がその前方にある。躯幹前部側壁にある1対の鰓裂は、咽頭(いんとう)と外界とを直接つなぐ。1935年(昭和10)に相模(さがみ)湾の城ヶ島沖200~300メートルの深さから43個体が採集されただけの、1属1種の日本固有種である。

[西川輝昭]

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エノコロフサカツギ

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