改訂新版 世界大百科事典 「エピデンドルム」の意味・わかりやすい解説
エピデンドルム
Epidendrum
ギリシア語由来の学名,上に(epi)と木(dendron)からわかるように,着生のラン科植物。メキシコ,グアテマラ,ブラジル,コスタリカなどの中南米諸国に広く分布し,約1000種を含み,50種あまりが栽培される。日本では切花栽培しているエピデンドルム・ラディカンスE.radicans Pav.,鉢花としてのエピデンドルム・マリエE.marie Ames,エピデンドルム・コクレアトゥムE.cochleatum L.,エピデンドルム・プリスマトカルプムE.prismatocarpum Reichb.f.などをみかける。種数が多く,形態的にはさまざまに分化している。多くは偽球茎をもつが,ときには直立,分枝する茎を有する種もある。葉もさまざまで,線形から長楕円形で草質のものもあるが,多くは革質で厚い。茎に頂生する花茎に総状や穂状,あるいは円錐状に多くの花をつける。花は黄色,緑色などさまざまあり,その形の変化も著しい。種間交配はあまりなく,属間交配は多い。カトレア属との間にはエピカトレアEpicattleya,レリア属との間にはエピレリアEpilealia,ソフロニティス属との間にはエピフロニティスEpiphronitisなどが育成されている。越冬は7~8℃以上必要で,春から秋までは戸外の寒冷紗下で肥培する。繁殖は春,株分けをする。
執筆者:江尻 光一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報