カトレア(読み)かとれあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カトレア」の意味・わかりやすい解説

カトレア
かとれあ
[学] Cattleya

ラン科(APG分類:ラン科)の1属名。中央アメリカ、南アメリカ原産。自生地では樹木の枝に着生し、気根を出す好気性の着生の洋ラン。洋ランのなかではもっとも華麗である。属名は、イギリスの植物愛好家のカトレイWilliam Cattleyの名にちなむ。園芸上ではカトレアレリア、ブラサボラ、ソフロニティスの4属と、この相互間の雑種のブラソカトレア、レリオカトレア、ブラソレリオカトレア、ソフロカトレア、ソフロレリオカトレアと、4属が交配されているポチナラなどをカトレアと総称していたが、最近はカトレア属とエピデンドラム属との間にエピカトレアが、ブロートニア属との間にカトレトニアが、ディアクリウム属との間にディアカトレアなどの人工新属が生まれ、これらを含めてカトレア類とも総称している。花色は白、桃、紅(べに)、朱赤、紫紅(しこう)、橙黄(とうこう)、黄色などと多様で、普通は径15~18センチメートルの大輪花を3個以上つけるものもある。春咲きから冬咲き種まであり、二季咲き種も含めると一年中花がみられる。栽培には冬に最低10℃を保つ場所が必要で、生育期は春から初秋まで。この間寒冷紗(かんれいしゃ)下に株を置き、水やりと施肥をよくし、春に出た芽を大きくすると、初秋ころから花芽がみえだす。植込み材料にはミズゴケ軽石バークなどを単用するが、ミズゴケ以外のものの場合は肥料をすこし増やさないと花芽は出にくい。

 繁殖株分け、実生(みしょう)のほか成長点培養(メリクロン)によってもできるが、一般には株分けによる。株分けは3、4年ごとの春または秋に、大株になったものを2、3芽ずつに分けて行う。実生は新品種をつくるとき以外は行わない。

江尻光一 2019年5月21日]


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