大学事典 「エラスムス・プログラム」の解説
エラスムス・プログラム
欧州共同体(当時)域内での大学生の移動を促進することを目的として,1987年から開始された行動計画。この計画の名称は,ルネサンス期を代表する人文主義者でヨーロッパ各地を遍歴したエラスムス,D.(1469ころ-1536)の名にちなむ。具体的には次の四つの行動から成る。行動Ⅰ:ヨーロッパ大学ネットワークの構築と維持,行動Ⅱ:学生の域内移動のための奨学金付与,行動Ⅲ:ディプロームおよび学位の相互承認,行動Ⅳ:ゼミナール,出版活動など域内における学生の移動を促進させるための補助的措置である。このうち,行動Ⅲのための措置として欧州単位互換制度(ECTS)が開発され,この制度により,出身国以外の加盟国で取得した単位が,自国でのそれに算入されることが可能となっている。エラスムスの名を冠した「エラスムス・ムンドゥス」は,第三国との共同を通して異文化理解を促進し,大学教育の質の向上を図るための事業である。なお,エラスムス・プラス(ERASMUS+)という名称の,2014~20年にわたるEUが実施している教育・訓練・青少年・スポーツのための総合的な助成計画がある。
著者: 木戸裕
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報