日本大百科全書(ニッポニカ) 「エンフィールド銃」の意味・わかりやすい解説
エンフィールド銃
えんふぃーるどじゅう
Enfield rifle
前装式ライフル銃の一種で、1846年にフランスで発明された前装(先込め)式ライフル銃のミニエー銃を、イギリスのエンフィールド兵器廠(しょう)が改良したパーカッション(雷発)式軍用小銃の総称。1853年からイギリス陸軍で使用された。使用弾丸は、ブリチェット弾という尖頭(せんとう)の鉛製椎(しい)の実型で、底縁部が薄くなっており、発射の火薬ガス圧によってこの部分が伸張し、ライフル溝に食い込んで弾丸に回転が与えられるのが特徴である。日本には1864年(元治1)ごろから外国商人の手を経て盛んに輸入され、幕末の戊辰(ぼしん)戦争ではもっとも多く使用された。明治初期の日本陸軍はこの銃で装備され、西南戦争まで使われている。日本での俗称はエンピール銃または鳥羽(とば)(Tower)ミニエーという。歩兵銃型は5条のライフル(施条(せじょう))、口径14.66ミリ、全長1250ミリメートル、重量3.88キログラム、照尺1200ヤード。騎兵銃型はライフルと口径は歩兵銃型と同じ、全長940ミリメートル、重量3.11キログラム、照尺1000ヤード。
[小橋良夫]