改訂新版 世界大百科事典 「オトミ」の意味・わかりやすい解説
オトミ
Otomí
メキシコ中央高原の各州に散在するオトミ語系の先住民。オトミが全体として政治的統一体を形成したことはなく,16世紀のスペイン人による征服以前には,近隣のトルテカ王国,アステカ王国の盛衰のたびに居住地域が変化し,征服後もスペイン人入植者による金鉱採掘・牧畜業導入などのために,オトミ村落は移住を強制されることが多く,入植者との間に衝突が絶えなかった。人口は約35万で,その80%がスペイン語を併用する。メキシコの他の先住民集団と異なり,オトミ語をすでに話さなくなっても,オトミ先住民としての意識を維持する者が多い。トウモロコシ,豆,カボチャなど主要作物のほか,地域によってはコーヒー,小麦,大麦など商品作物も生産する。リュウゼツランの茎液から醸すプルケという酒が好んで消費される。
執筆者:落合 一泰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報