プルケ（その他表記）pulque

デジタル大辞泉

プルケ（pulque）

マゲイとよぶリュウゼツランの一種から採った樹液を発酵させて造るメキシコの酒。

出典　小学館

改訂新版　世界大百科事典

プルケ
pulque

リュウゼツランからつくるメキシコ起源の醸造酒。メキシコでマゲイmagueyとよばれるリュウゼツランのうち，Pulque agaveの名もあるatrovirensは，球状の株から肉厚の葉が放射状にのび，中央から茎が出て花をつける。ふつう花を咲かすのに十数年かかる。球状の株には甘い樹液がたまる。花の咲く前に茎を切って株に穴をうがち，両端を切った細長いひょうたんでこの液を吸い上げる。液は蜜水ともいい，栄養も豊富で甘く美味。この蜜水を発酵させたものがプルケである。アルコール分は十数度と低い。このまま飲む場合と，果汁を混ぜて飲む場合がある。

　プルケは，先スペイン期には神の酒として尊ばれ，祭事に不可欠のものであった。また，プルケにちなんだ神話，伝説も多い。神話によれば，マヤウェルという女性がマゲイから蜜水をとり出す方法を発見し，パテカトルがそれを発酵させてプルケをつくり出したという。プルケを飲まされての失敗談も多く，酔って失脚したケツァルコアトル王の伝説が有名である。
執筆者：大井 邦明

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

世界大百科事典（旧版）内のプルケの言及

【多肉植物】より

…リュウゼツラン属のアガベ･シサラナAgave sisalana Perr.からサイザル麻が，アガベ･テキラナA.tequilana Web.からテキーラ酒がとれる。リュウゼツラン属からつくる発酵酒のプルケpulqueは，アステカ族が833年に造り始めたと伝えられる。アオサンゴなどユーフォルビア属には石油類似のテルペン系化合物を含む。…

【多肉植物】より

…リュウゼツラン属のアガベ･シサラナAgave sisalana Perr.からサイザル麻が，アガベ･テキラナA.tequilana Web.からテキーラ酒がとれる。リュウゼツラン属からつくる発酵酒のプルケpulqueは，アステカ族が833年に造り始めたと伝えられる。アオサンゴなどユーフォルビア属には石油類似のテルペン系化合物を含む。…

【トラスカラ】より

…トウモロコシ，豆などの伝統的農業地帯の中核都市。リュウゼツランを原料とするプルケ酒の産地として知られる。16世紀初め30万を数えたトラスカラ族はH.コルテスのアステカ帝国征服に協力し，この地は初期植民史の重要な舞台となった。…

※「プルケ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」