小麦(読み)コムギ

デジタル大辞泉 「小麦」の意味・読み・例文・類語

こ‐むぎ【小麦】

イネ科一年草。高さ約1メートル。茎は節のある円筒状で、葉は細長く、基部は茎を抱く。5月ごろに穂状の花をつけ、実は楕円形で溝があり、熟すと褐色になる。西アジアの原産で、重要な穀物として世界中で栽培。多くの品種があり、春小麦と冬小麦とに大別される。実を主に粉にひいてパンなどの原料にする。まむぎ。パン小麦。 夏》
[類語]大麦裸麦ライ麦烏麦燕麦鳩麦押し麦き割り麦

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精選版 日本国語大辞典 「小麦」の意味・読み・例文・類語

こ‐むぎ【小麦】

  1. 〘 名詞 〙 イネ科の一~二年草。アフガニスタンからカスピ海地域原産で、古くから世界各地で栽培されている。品種の数は多く、秋まき小麦と春まき小麦に大別される。稈は高さ〇・九~一・五メートル。節があり、節間は中空。葉は細い剣状で基部は鞘(さや)となって茎を包む。花穂は稈の先端につき長さ六~一二センチメートルの紡錘形。芒(のぎ)のあるものとないものがある。種子は楕円形で縦溝が一本ある。種子から、みそ、しょうゆなどをつくり、粉にしてパン、めん類、菓子などの原料にする。茎は屋根ふき、麦わら細工、家畜の飼料などに用いる。漢名、小麦。まむぎ。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「用肆拾束 小麦一斛直廿束」(出典:正倉院文書‐天平二年(730)一二月二〇日・大和国正税帳)

しょう‐ばくセウ‥【小麦】

  1. 〘 名詞 〙 こむぎ。
    1. [初出の実例]「Xôbacuno(ショウバクノ) コノ イリタル カゴ」(出典サントスの御作業の内抜書(1591)二)

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食の医学館 「小麦」の解説

こむぎ【小麦】

《栄養と働き》


〈米よりもビタミンB群、カルシウムが豊富〉
 小麦(こむぎ)はイネ科の越年草で、主食とする国がもっとも多いため、生産量は食用作物中世界第1位です。
 現在の小麦の発祥地は黒海からカスピ海のオリエントで、およそ1万年前から栽培されています。その歴史は古く、人類最初の作物ともいわれています。
○栄養成分としての働き
 糖質が主成分ですが、たんぱく質カルシウム鉄分食物繊維などは精白米よりも多く含んでいます。ただし、たんぱく質の質のよしあしを決めるアミノ酸スコアは44点と、米の65点にくらべて低いため、たまごや肉、乳製品と組み合わせて食べることがたいせつです。
○漢方的な働き
 漢方では神経症、イライラ、更年期不定愁訴(ふていしゅうそ)などの症状改善に使われます。
 常食すれば胃腸が丈夫になり、食欲がでて精力がつき、慢性の下痢(げり)を止める効用も期待できます。
 腎臓が弱っている人、腸が弱くて下痢をしやすい人、寝汗をかいて眠れない人などに適した食品といえましょう。

《調理のポイント》


 小麦はそのままでは、しょうゆ、味噌の原料に使われますが、ほとんどは小麦粉として利用されます。
 小麦は粒のかたさによって、硬質小麦、中間質小麦、軟質小麦の3種類があり、製粉される小麦粉のタイプもちがってきます。
 軟質小麦はおもにケーキや菓子、てんぷらの衣などに使われる薄力粉(はくりきこ)、硬質小麦はおもにパンやパスタ、中華麺(めん)などに使われる強力粉(きょうりきこ)、中間質小麦はうどんやひやむぎなどをつくる際に使われる中力粉(ちゅうりきこ)となります。
 小麦粉を使った料理では、お好み焼きやすいとんなどがあります。
 ところで、小麦粉になるのはおもに胚乳(はいにゅう)部分で、皮と胚芽(はいが)は除かれてしまいます。ビタミンやミネラルなどの栄養をとりたい場合は、粒全体をそのままひいた全粒粉(ぜんりゅうこ)がおすすめです。製粉時に除かれる皮と胚芽は、小麦ふすまとして飼料に使われていますが、最近では栄養補助食品として注目されています。
 ちなみにふすまは布袋に入れて入浴剤として利用すると、酵素(こうそ)の働きで肌がツルツルになります。
○注意すべきこと
 小麦には体を冷やす作用があるので、冷え症の人は多用するのをひかえましょう。
〈血液循環をよくし、細胞の老化を防止する小麦胚芽の威力〉
 小麦の胚芽部分だけを集めて食べやすくしたものが小麦胚芽です。ビタミンB1、B2、食物繊維が豊富なので、糖質の代謝を促進し、疲労回復、便秘解消に役立ちます。
 そして、なんといってもビタミンEが多く含まれている点が小麦胚芽の特徴です。血行をよくし、新陳代謝を活発にして細胞の老化を防ぐ働きがあります。これらの働きは、動脈硬化予防や美肌にも有効です。
 小麦胚芽は米と混ぜて炊(た)いたり、揚げものの衣に利用するといいでしょう。また、クッキーのタネやホットケーキに加えても香ばしさがプラスされておいしくなります。

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「小麦」の解説

しょうばく【小麦】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。イネ科コムギの種子。鎮静止渇(しかつ)消炎などの作用がある。子どもの夜泣きひきつけ、女性の不眠症自律神経失調症に効く甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)などに含まれる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「小麦」の解説

小麦 (コムギ)

学名:Triticum aestivum
植物。イネ科の一~二年草,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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