大学事典 「オベリン・カレッジ」の解説
オベリン・カレッジ[アメリカ]
アメリカ中西部のオハイオ州北部に位置する,音楽学校を併設したやや大規模なリベラルアーツ・カレッジ。その名称は,生涯をかけて敬虔で差別のない村をアルザスに建設し,カレッジの創設者たちに強烈な印象を与えたフランスのジャン・F. オベリン,J.F.牧師(1740-1826)にちなみ付けられた。オハイオのフロンティアに1833年開学した当初から,同牧師の改革精神に倣い男女共学やアフリカ系アメリカ人の入学を他大学に先がけて実践し,58年には逃亡奴隷の歴史的な救出(オベリン-ウェリントン奪還)に深く参画して,南北戦争の戦端を開く奴隷解放運動のシンボル的存在となった。1870年には全米で最大の学生数(約1000名)を記録した。その後現在まで,実験的・改革的な伝統と研究大学に匹敵する蔵書数等を保持しつつ,在籍学生数を3000前後に抑制して高度なリベラルアーツと音楽教育に専心している。卒業生には東洋史のエドウィン・ライシャワーや社会心理学のジョージ・H. ミードがいる。
著者: 立川明
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報