おぼめかし(読み)オボメカシ

デジタル大辞泉 「おぼめかし」の意味・読み・例文・類語

おぼ‐めか・し

[形シク]《動詞「おぼめく」の形容詞化
はっきり見えない。おぼろげである。
夕涼みといふほど、物のさまなども―・しきに」〈・二二四〉
記憶などが確かでない。
「そのかた(=和歌ノ方面)に―・しからぬ人」〈二三
あいまいにして、はぐらかすさま。
女君、さばかりならむと心得給へれど、―・しくもてなしておはす」〈・若菜上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「おぼめかし」の意味・読み・例文・類語

おぼ‐めか

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 ( 動詞「おぼめく」の形容詞化したもの )
  2. はっきり見えない。ぼんやりとかすんでいる。おぼろげだ。
    1. [初出の実例]「夕涼みといふほど、物のさまなどもおぼめかしきに、男車の〈略〉後の簾揚げて〈略〉走らせて行くこそいと涼しげなれ」(出典:枕草子(10C終)二二四)
  3. 記憶や技能などが確実に身についていないさま。不確かだ。あやふやだ。あぶなっかしい。
    1. [初出の実例]「その方におぼめかしからぬ人、二三人ばかり召しいでて、碁石して数置かせ給ふとて」(出典:枕草子(10C終)二三)
  4. つかまえどころがなくて不安なさま。気がかりだ。
    1. [初出の実例]「このある人人も、かかる御心ざしのおろかならぬを見知れば、おぼめかしながら頼みかけきこえたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
  5. わざとはっきりさせないさま。あいまいだ。とぼけている。
    1. [初出の実例]「女君、さばかりならむと心得給へれど、おほめかしくもてなしておはす」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)

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