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記憶 きおく memory

翻訳|memory

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

記憶
きおく
memory

過去の経験を頭のなかに残しておいて,ときに応じてそれらを思い起したり使用したりする過程,またはその機能を包括的に示す語。普通は,再生される場合に熟知感情ないし既知感を伴う表象,特に心像的なものについていわれるが,広くは,特別な既知感を伴わない習慣的動作や動作的なものも含む知識 (読字,書字) や,過去の出来事に関しての時間的な位置づけなど,過去の経験に依存するすべてのものについて適用される。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

き‐おく【記憶】

[名](スル)
過去に体験したことや覚えたことを、忘れずに心にとめておくこと。また、その内容。「記憶に新しい出来事」「少年時代のことを今でも記憶している」「記憶力」
心理学で、生物体に過去の影響が残ること。また、過去の経験を保持し、これを再生・再認する機能の総称。
コンピューターに必要なデータを蓄えておくこと。

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百科事典マイペディアの解説

記憶【きおく】

最も広義には,生体に先行経験の影響や効果が残されること一般(有機的記憶)を意味するが,狭義には,再認感情(熟知感情)を伴う明白で意図的な想起の体験またはその過程をさす。
→関連項目ムネモシュネレミニッセンス

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栄養・生化学辞典の解説

記憶

 感覚,感情,思考,印象,その他の精神的なことを思い出すことのできる能力.

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デジタル大辞泉プラスの解説

記憶

日本のポピュラー音楽。歌は女性歌手、MISIA(ミーシャ)。2011年発売。作詞:MISIA、松井五郎、作曲:BZ4U。テレビ朝日系で放送のドラマ遺留捜査 第1シリーズ」の主題歌

出典|小学館
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世界大百科事典 第2版の解説

きおく【記憶 memory】

一般に,過去の体験やできごとを記銘し,保持し,再生する働き,あるいは再生されたものをいう。しかし,これが広狭両様にいわれるところから,記憶をめぐる解釈上の問題が起こっている。例えばベルグソンは,習慣も過去に定着した運動機構の保持と再生であるとして,それを〈習慣‐記憶〉と呼んだ。さらに彼は,事物の時間的生成が過去の絶えざる累積であることを〈純粋記憶〉と言い表している。これなどは記憶という語の最も広い用法の一例であるが,ここまでくると,記憶という語の使用が意味を失うと思われる。

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大辞林 第三版の解説

きおく【記憶】

( 名 ) スル
経験した物事を心の中にとどめ、忘れずに覚えていること。また、覚えている事柄。 「当時の事はよく-しています」 「 -にない」
〘心〙 経験したことを覚えこんで保持しておき、のちに過去の経験として再生する働き、また、その内容。 → 記銘保持再生
コンピューターの記憶装置に必要な情報を一定期間保存しておくこと。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

記憶
きおく
memory

経験を保持し、なんらかの仕方でこれを再現する機能を意味する。時間的な経過からみると、記銘memorization、保持retention、想起rememberの過程に分けられる。記銘は経験の獲得という意味で学習の側面ともみられるが、保持、想起の前提となる。つまり、学習と記憶とは不可分な関係にある。[小川 隆]

記憶の区分

今日の知見では、記憶は1000分の1秒単位で測られる瞬時の感覚的記憶すなわち直接記憶immediate memoryと、記銘後、復唱を許す程度の比較的短時間保持される短期記憶short term memoryと、長期にわたり永続的に保持される長期記憶long term memoryとに3区分して研究されている。[小川 隆]
直接記憶
直接記憶については古くから記憶の範囲が問題とされ、たとえば種々の長さの数系列や文字系列を1字ずつ継時呈示し、記銘直後に想起させると、約7個の数の限界が示されていたが、近来、数項目の行列を瞬間的に同時呈示し、2分の1秒以内に信号音を聞かせて任意の行列を想起させると、それ以上の数の項目が想起されることが実験的に明らかになった。このような瞬時の視的印象はアイコンiconと名づけられている。直接記憶は1秒以内で消失するが、若干の項目は短期記憶に残される。[小川 隆]
短期記憶
短期記憶の容量は、記銘項目の単位に規定される。たとえば数個の数字を連絡なく個々に記銘しても、想起する保持量は少ないが、年号とか有意味な言語に置き換えて記銘すれば、多くの数字を想起しうる。このようなまとまりのある結合単位はチャンクchunkといい、チャンクの数が保持量を示すことになる。記銘項目の復唱は保持に有効で、この機会をなくすと急速に保持量は低下する。たとえば、無意味綴(つづ)りの記銘後、3桁(けた)の数字236を233、230、というように3の差で数列を後ろ向きに数えさせ、記銘項目の自然の復唱を妨害したところ、18秒で90%を消失したという実験もある。また、短期記憶の記銘系列が長いほど想起に時間を要することが、数字系列の再認を検討した実験で明らかにされている。この際、記銘数字の有無の判断がいずれも同様な再認時間の経過を示したので、想起の検索過程が並列的に行われるのでなく、直列的に行われ、また、項目の照合が有無に関係なくことごとく尽くされるとして、この過程を悉皆(しっかい)直列検索exhaustive serial searchという主張もある。[小川 隆]
長期記憶
短期記憶からなかば永続的に残された項目が長期記憶であるが、さらに個人の具体的経験を想起するエピソード記憶episodic memoryと、いちいちの具体的経験を想起するのでなく、経験を重ねるうちに言語化され、知識となった意味論的記憶semantic memory、あるいは概念的記憶conceptual memoryとに分けることもある。また、長期記憶となるものは生活史のなかでつねに強化を受け、復唱の機会の多いことと関係する。この機会の少ない他人の名前を忘れても、自分や近親の名前は忘れないのはこの例である。[小川 隆]

記憶の研究法

記憶に関して伝統的な研究法があり、記銘に関して、系列予言法serial anticipation methodと、対(つい)連合法parallel association methodとが用いられる。前者はアイウエオ順に並べた人名簿の名前を次々に照合しながら覚えるように、一定の順序の項目を記銘、想起させる場合であり、後者は外国語を辞書を引いて確かめながら覚えるように、1対の項目の系列を、次々に一方を覆って他方を想起させる場合である。これらの方法で、系列の中間に位置する項目が、両端に比して想起しがたいことが確かめられている。記銘項目のなかに異質の項目があると、これが目だって保持されやすいこと、また、有意味語の記銘系列では、無作為な配列から語と語の自然の連なりを逐次増加させ、完全な文章に近づけるほど想起量が多くなること、などが確かめられている。
 想起については再生reproduction、再認recognition、再学習relearningの方法が用いられる。再認は辞書のなかから語を探すように、現前の項目についてそれが記銘項目か否かを区別する手続であり、再生は辞書なしで語を思い出すように、項目の呈示がなく想起する手続である。再学習は同じ記銘系列をふたたび学習する方法で、一般に原学習より速く学習されるのでその節約率が保持量を示すことになる。想起される保持量は再生、再認、再学習の順に大となる。[小川 隆]

忘却

時間経過によって記銘項目の想起量は低下するが、エビングハウスの古典的研究では、無意味綴りの記銘項目を分、時、日、週、の時隔で1か月にわたって想起量を比較した結果、約1時間後に50%の保持量の低下を示し、その後は負の加速度をもって漸近線に近づくことを確かめている。これは、忘却曲線forgetting curveまたは、保持曲線retention curveといわれるが、保持曲線を詳しく検討すると、記銘直後よりも時間を置いて保持量が増すことが認められた。この現象はレミニセンスreminiscenceといい、無意味項目では数分後に現れるが、有意味項目では数日後に現れることもある。
 また、記銘と想起との間が覚醒(かくせい)時か睡眠時かで、保持量が異なることが確かめられている。無意味綴りの記銘実験では、睡眠時は覚醒時に比して保持量が低下せず、2時間後に覚醒時より高い漸近線に達することがみられている。覚醒時に干渉効果があることが予想されるが、実験的に認められている干渉効果は、たとえば、2種の項目系列を継時的に記銘した場合、前後に互いに干渉しあうことである。前系列の後系列への干渉は順向抑制または前進禁止proactive inhibition、後系列の前系列への干渉は溯向(そこう)抑制または後退禁止retroactive inhibitionという。干渉の効果は記銘項目が類似しているほど著しいが、似て非なるものの干渉で完全に同一であれば効果はなく、むしろ類似性が中程度で大であるという報告もある。一般に前系列の記銘直後、また想起直前、後系列が挿入される場合の効果は大きい。
 忘却は記銘内容の様相によって異なり、視覚的記憶が薄れて、聴覚的記憶に移行する場合や、言語化が進行し、聴覚的類似性よりも意味的類似や連想が効果をもつこともある。また、動機づけとも関係し、精神分析では不快な記憶が抑圧によって忘却されるという。[小川 隆]

記憶の再構成

想起を繰り返すと記銘項目の細部が薄れ、一定の方向に強調されたり、変化して想起されることがある。これを記憶の再構成という。図形の記憶で、たとえば、弧が、わずかに欠けた円となり、ついに完全な円となるように、不完全な図形が完全な図形にあわせるように近づく常態化、ゆがんだ図形が均衡のある図形に近づく対称化、特定の見方が図形の一部を目だたせる強調化などがみられる。なお、再構成は、碁石を持って以前に経験した局面を碁盤の上に再現するように、素材や部分を与えられて全体の配置を想起する場合にもいう。
 記憶は項目の意味、構造について記銘される論理的・概念的記憶と、それに関係なく反復して記銘される機械的暗記による場合とがあるが、後者は10歳前後までに多くみられ、その後は前者が増大する。再構成にとって主要な枠組みとなるのは感性的な面だけではなく、論理的記憶のなかでの知識や態度による意味づけで、それに従って記銘項目が変化する。この枠組みはスキーマschemaといわれることもある。[小川 隆]

哲学における記憶の問題

記憶の問題の原型は、プラトンのうちにみいだすことができる。プラトンは心のうちにある蝋(ろう)を考え、経験がその蝋に刻印されることを記憶とし、刻印されなかったり消えたりした場合を忘却とした。また心を鳩(はと)小屋と考え、さまざまな鳥をとらえその鳩小屋に入れることを記憶とし、鳩小屋の鳥を手にとらえることを想起とした。プラトンの蝋の比喩(ひゆ)、鳩小屋の比喩のうちに、いかにして過去の経験が保持されるのか、過去の想起とはいかなることか、についての困難な問題をみることができる。過去が鳩小屋の中の鳥のようにそのままの形で残っており、それを手にとらえることが想起だとすれば、過去の想起は現在の知覚と区別できないことになる。現在の知覚も外にいる鳥をとらえることなのだから、とらえられた鳥は想起と知覚との区別を与えることはできない。過去がそのままの形で保持されるのではなく、鳩小屋の鳥が多少生気を失っていると考えるとしても、やはり現在の知覚と区別されないだろう。生気のない鳥をとらえるような現在の知覚もあるし、逆に生き生きとした記憶もあるのだから。それに対し過去が鳩小屋の鳥のようにそれ自体が保持されるのではなく、記憶を蝋の比喩のように過去の写しと考えることができる。
 しかし想起とは、過去の写しをあたかも過去に撮った写真のようにみて、それを通して過去を想起するのではなく、過去そのものに直接にかかわることである。しかも過去の写しが「過去」の写しという意味をもつためには、その原型である過去をなんらかの仕方で知っていなければならない。それゆえ想起とは過去そのものにかかわること、過去そのものに達することと考えねばならない。思い出せないという忘却も過去との欠如的なかかわりであるがゆえに、想起によって過去へと開かれていることを前提にしている。
 さらに記憶は現在の経験、知識を可能にするものとして哲学の問題となる。この問題もまたプラトンの想起説にその原型をみることができる。それはア・プリオリ(先天的)の問題であり、生得(せいとく)観念(デカルト)、ア・プリオリな認識(カント)のうちに継承された。ヘーゲルの『精神現象学』(1807)は、忘却された意識の経験を想起することとして展開された。ハイデッガーはア・プリオリの問題を存在論のうちで、存在の先行的了解として展開した。[細川亮一]
『小谷津孝明編『現代基礎心理学講座4 記憶』(1982・東京大学出版会) ▽小谷津孝明編『認知心理学講座2 記憶と知識』(1985・東京大学出版会)』

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世界大百科事典内の記憶の言及

【学習】より

…心理学において学習とは主体の経験による行動や心的状態(認知)の比較的長期に持続する変化を示す語として使われてきた。認知のモデル化を目指す認知科学においては,学習は記憶とほとんど同じものとして扱われ,特に個体の知識の獲得に対応するものと考えられてきた。しかし,最近になって,知識観の変化と実践活動に対する理解の深まりを反映し,学習を実践のコミュニティの社会的活動とみなす新しい学習観が生まれ,日常のさまざまな活動(ワーク)の研究が盛んに行われている。…

【記憶術】より

記憶の構成行程を分析解明することによって,その特徴を明らかにし,これを活用して想起作用をより迅速かつ容易に行わせようとするくふう。視聴覚とくに視覚を援用する場合が多い。…

【コンピューター】より

…電子回路がこういう数を扱うためには,それが電子回路のどこかに表現(格納)されていなければならない。データを格納する装置をメモリー(記憶)と呼ぶ。意味のある計算をするためには,たくさんのデータをメモリーに格納できなければならない。…

【心身問題】より

…しかし心身分離には生活に根ざした強い動因がある。
[心身分離の動因]
 まず記憶や想像である。すでにない過去やいもしない怪獣はこの物質世界には存在しない。…

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