日本大百科全書(ニッポニカ) 「オマル・ムフタール」の意味・わかりやすい解説
オマル・ムフタール
おまるむふたーる
’Umār al-Mukhtār
(1862―1931)
1920年代、イタリアのリビア侵略に対する抵抗運動を指導したリビア民族運動の英雄。19世紀後半からヨーロッパ列強のアフリカ侵略が始まり、1911年イタリアは、当時オスマン帝国領であったリビアを植民地とした。
これに対して、イスラムの原点に帰ってイスラム国家を再建しようとするサヌーシー教団の率いるリビア住民抵抗軍は、主としてキレナイカ地方でイタリア軍と戦った。オマル・ムフタールは1923年以後8年間、サヌーシー教団の戦闘的リーダーとして活躍した。しかし、近代的軍備をもつイタリア軍に敗れ、31年9月に捕らえられ公開処刑された。
[勝俣 誠]