オルタナティブモダン(読み)おるたなてぃぶもだん(その他表記)Alternative modern

知恵蔵 「オルタナティブモダン」の解説

オルタナティブモダン

「もう1つのモダニズム建築」。モダニズム建築の再考という側面を強く持った日本の現代建築の動向を示す言葉で、伊東豊雄青木淳、西沢立衛、ヨコミゾマコト、藤本壮介、遠藤秀平ら、ベテランから中堅、若手にまで幅広い範囲に及んでいる。モダニズム批判といえば、かつてはポストモダニズム専売特許であったが、ポストモダニズムの場合は、後期資本主義の強い影響もあってか、禁欲的なモダニズムから脱却して装飾的でスピード感のあるデザインを目指す傾向が強かったのに対し、オルタナティブモダンという場合は壁、柱、床、屋根などの根本的な要素からデザインを再考していこうとする傾向が強い。直線的なモダニズムに対して曲線や曲面構造を重視する傾向にも、CADによって生み出された新しいイメージを積極的に活用しようとするのと同時に、バロックアールヌーボーといった伝統的な様式の再解釈といった側面も見て取ることができる。2005年には、建築専門ギャラリーのTNプローブでオルタナティブモダンをめぐる連続シンポジウムが開催され、主に若手建築家の間で大きな反響を呼んだ。

(暮沢剛巳 建築評論家 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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