カコボラ(その他表記)Monoplex parthenopeum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カコボラ」の意味・わかりやすい解説

カコボラ
Monoplex parthenopeum

軟体動物門腹足綱フジツガイ科。殻高 16cm,殻径 8.5cm。殻は太い紡錘形,螺塔は円錐形で7階。殻表は黄褐色の厚い殻皮毛でおおわれ,蓑 (みの) をかぶっているようなので,ミノボラの別名がある。胎殻は殻皮がなく,褐色で光沢がある。螺層には太い2本の螺肋と多数の細い螺肋があって,細い縦肋と交わって細かい布目となる。体層は大きく,6~7本の太い螺肋と,黒褐色と白色の斑をもつ太い縦張肋がところどころにある。殻口は卵形,外唇は厚く,軸唇は黒褐色で多くの白いひだがある。短い水管溝が下方へ伸びる。ふたは卵形,革質で厚く,黒褐色。8~10月頃,白色の卵嚢を岩面に産む。幼生は 100日以上の長いプランクトン生活をするため分布が広く,太平洋,大西洋地中海にいたる全世界の熱帯,温帯域に普遍的に生息する。日本周辺の個体群は M.parthenopeum echoという亜種とされることもあり,房総半島以南の潮間帯付近の岩礁にすむ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カコボラ」の意味・わかりやすい解説

カコボラ
かこぼら / 加古法螺
hairy triton
[学] Monoplex echo

軟体動物門腹足綱フジツガイ科の巻き貝。殻表に黄褐色の毛皮状の殻皮をかぶっているさまを、蓑(みの)を着ているさまに見立ててミノボラという古名がある。また、外房の一部では食用にすると肉がいくぶん甘みのあるところからサトウガイ(砂糖貝)という。房総半島以南から九州までの日本各地および朝鮮半島、中国沿岸に分布し、潮間帯から水深20メートルぐらいの岩礁地帯にすむ。殻高16センチメートル、殻径8.5センチメートルに達する短紡錘形で、殻は厚く、体層には6~7本の太い螺肋(らろく)と縦張肋が不規則にある。殻表は赤褐色で、殻口の縁には黒みを帯びた白いひだがある。水管溝は短くわずかに曲がる。蓋(ふた)は角質。肉は橙黄(とうこう)色の地に緑褐色斑(はん)がある。肉食性。8~10月に卵嚢(らんのう)を固めて産み付ける。

[奥谷喬司]


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