改訂新版 世界大百科事典 「カタルニャ語」の意味・わかりやすい解説
カタルニャ語 (カタルニャご)
Catalán
ロマンス語に属する言語。元来ピレネー山脈東端から地中海岸にかけての地域に根づいたラテン語を源として形成されたもので,現在ではスペインのカタルニャ地方のほか,バレンシア地方の大部分,バレアレス諸島,アンドラ(同公国の公用語として),フランスのルーシヨン地方,サルデーニャ島北西部の町アルゲロ(14世紀に移植される)で使用されている。全言語人口は約700万人と推定される。カタルニャ語はイベリア半島の他のロマンス語(スペイン語,ポルトガル語)と共通の特徴を有する一方,地理的・歴史的につながりの深い南フランスのオック語との共通点(-aを除くラテン語の非強勢語末母音の脱落など)も少なからず示している。カタルニャ語による最古のまとまった資料は1200年ころにさかのぼる宗教文書である。近世以降カタルニャ語はたび重なる政治的制圧を被ったが,その活力を保ち続け,特に最近はカタルニャの自治権回復(1978)に伴い,著しい社会的復興を遂げている。
執筆者:長神 悟
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報