日本大百科全書(ニッポニカ) 「カボチャミバエ」の意味・わかりやすい解説
カボチャミバエ
かぼちゃみばえ / 南瓜果実蠅
pumpkin fruit fly
[学] Dacus (Paradacus) depressus
昆虫綱双翅(そうし)目短角亜目ハエ群ミバエ科に属する昆虫。体長、翅長とも10~11ミリメートルでミバエ類では大形種。体は褐色ないし赤褐色。頭部の単眼三角部は小さくて黒色。前額(ぜんがく)の眼縁剛毛の各基部には褐色の小点紋があり、顔面には1対の褐色円紋がある。胸部の肩瘤(けんりゅう)、中胸背面の小字形紋、小楯板(しょうじゅんばん)はいずれも生時は鮮黄色。小楯板前剛毛は微弱で、黄色か、またはまったく欠如するのが特徴。はねは透明で光沢があり、縁紋より外方の前縁は細く褐色で、翅頂の大きな褐色紋に連結する。臀室(でんしつ)の末端は外方へ著しく伸長し、臀室上およびその前方にまたがって褐色の斜条が走る。この斜条ははねにおける第二次性徴を表していて、雌雄によって明瞭(めいりょう)な差があり、雄に顕著に現れる。腹部背面各節の前縁寄りには黒色の横帯がある。雌の産卵管の基部環節は扁平(へんぺい)で、その前の2節の長さの和よりも短い。本州以南、台湾に産する普通種で、幼虫はカボチャ、スイカ、トマト、キカラスウリの果実に食入して加害する。
[伊藤修四郎]