日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラスザメ」の意味・わかりやすい解説
カラスザメ
からすざめ / 烏鮫
軟骨魚綱ツノザメ目の科や属の総称、またはその1種の名称。カラスザメ科Etmopteridae(英名lantern sharks)は2基の背びれに強い棘(とげ)をもち、上下両顎(りょうがく)に直立した単尖頭(たんせんとう)(先端が枝分かれしていない)の歯をもつ属(トゲカスミザメ属Aculeola、ワニグチツノザメ属Trigonognathus)と、上下両顎に数尖頭の歯をもつ属(カスミザメ属Centroscyllium)、そして上顎に数尖頭の歯を、下顎に外方に傾いた単尖頭の歯をもつ属(カラスザメ属Etmopterus)の4属に分けられる。カラスザメ属はサメ類のなかでも種数がもっとも多い属の一つで、世界から約40種、日本からは8種が知られている。
種としてのカラスザメE. pusillus(英名smooth lanternshark)は東太平洋を除く海域から報告があり、体の鱗(うろこ)がブロック状であることが特徴である。生殖方法は卵黄依存型の胎生で、全長15センチメートルほどの子を1~6尾産む。全長50センチメートルほどになる。深海性で、水深400~700メートルに生息し、ときに1000メートルに達する。トロール網や刺網(さしあみ)で漁獲され、フィッシュミールの原料などになる。国際自然保護連合(IUCN)のレッド・リストでは、低懸念(LC)とされている(2021年9月時点)。
[仲谷一宏 2021年10月20日]