カルシウム拮抗薬による歯肉増殖症(読み)カルシウムきっこうやくによるしにくぞうしょくしょう(その他表記)Calcium channel blocker-induced gingival hyperplasia

六訂版 家庭医学大全科 の解説

カルシウム拮抗薬による歯肉増殖症
カルシウムきっこうやくによるしにくぞうしょくしょう
Calcium channel blocker-induced gingival hyperplasia
(歯と歯肉の病気)

どんな病気か

 高血圧狭心症(きょうしんしょう)などの治療薬として使用されているカルシウム拮抗薬を服用している場合、その副作用として歯肉がはれることがあります(図41)。カルシウム拮抗薬には、ニフェジピン(アダラート)、ベラパミル(ワソラン)、ジルチアゼム(ヘルベッサー)、ニカルジピン(ペルジピン)などがあります。

 これらの薬剤は、血管平滑筋(へいかつきん)細胞内へのカルシウムイオンの取り込みを阻害して、血管収縮を抑え、血圧を下げたり、血行を改善します。ほとんどのカルシウム拮抗薬は、歯肉増殖を起こすといわれています。

 発現率は10~20%程度であり、増殖の程度はさまざまです。前歯で最も頻繁にみられ、口のなか全体に起こることもあり、ダイランチン性歯肉増殖症と同じような所見を示します。

 歯肉増殖の原因はよくわかっていませんが、カルシウム拮抗薬によって活性化された歯肉中の線維芽細胞(せんいがさいぼう)が、基質を多量に産生することと関連があるらしいとされています。

治療の方法

 口腔清掃を基盤として、プラークコントロールをし、歯周基本治療を行います。そのあと再検査し、必要に応じてはれの引かない部位に小外科手術を行うことは、ダイランチン性歯肉増殖症と同じです。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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