日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルビナ」の意味・わかりやすい解説
カルビナ
かるびな
Karviná
チェコのモラビア地方北部の鉱工業都市。人口6万5041(2001)。オストラバの北東、ポーランドとの国境近くにあるオストラバ・カルビナ炭田の採炭中心地である。主要な工業は製鉄、コークス製造業である。オストラバとは鉄道、道路で結ばれている。チェシンを中心とするこの地域は、歴史的にはボヘミア王家に帰属したが、人口の55%がポーランド人であった。そのため、第一次世界大戦後、石炭と東西を結ぶ鉄道ルートを必要とする旧チェコスロバキアとポーランドの間で帰属が争われ、列強の介入により両国に分割された。しかし、旧チェコスロバキア領となった地域にも多くのポーランド系住民がおり、問題は解決されなかった。1938年のミュンヘン会談後、全地域がポーランド領となったが、45年に旧チェコスロバキアに復帰した(チェシン問題)。さらに93年のチェコとスロバキアの分離独立によってチェコ領となった。
[中田瑞穂]