日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーボンバルーン」の意味・わかりやすい解説
カーボンバルーン
かーぼんばるーん
carbon balloon
球形をした炭素中空体。綿菓子をつくるように、溶融したピッチを高温で細い孔(あな)から吹き出してやると、小さな球となる。ピッチ中にあらかじめ発泡剤を入れておけば中空球となる。これを200℃前後の空気中で酸化しピッチ球を不融化したのち、酸素のない不活性雰囲気(空気を遮断した状態)のもとで炭化することによりつくられる。球径は100~1000マイクロメートル程度のものが一般的である。包装材としてよく知られる発泡ポリスチレン樹脂の球に石炭をまぶしたのち、ピッチのときと同じように熱処理すると、芯(しん)になっている樹脂は溶融分解してしまうが、外側の石炭は固く焼成されるので、結果として中空球が得られる。中空球をさらに賦活(ふかつ)(活性化)して活性炭中空球とすることもできる。カーボンバルーンは樹脂、ガラスの充填(じゅうてん)剤として、また水に浮いた油の吸収剤として使用される。
[真田雄三]