充填(読み)じゅうてん(英語表記)Filling

精選版 日本国語大辞典 「充填」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐てん【充填】

  1. 〘 名詞 〙 すきま、穴、欠員などを満たしうめること。詰めること。また、詰まること。〔改訂増補物理階梯(1876)〕
    1. [初出の実例]「幾江は金の充填の代価を渡してやった」(出典:彼女と少年(1917)〈徳田秋声〉五)
    2. [その他の文献]〔宋史‐兵志〕

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六訂版 家庭医学大全科 「充填」の解説

充填
じゅうてん
Filling
(歯と歯肉の病気)

 むし歯外傷などで、歯の一部に穴があいたり欠けたりした部分(欠損部分)を、適当な材料で修復することを充填といいます。充填により、歯の機能(噛む、話す、審美性)を回復すると同時に、さらなる疾患(むし歯や歯周病)の予防を行います。

 近年は歯に接着する材料の開発・進歩により、欠損部分以外の健全な歯を極力削らないで保存する方法が可能になり、通常の歯科治療ではこの接着性の材料が充填で用いられています。

 充填はその材料により、レジン充填、グラスアイオノマーセメント充填、および接着アマルガム充填、などがあります。

①レジン充填

 レジンとは歯科における通称名であり、一般にはプラスティックといわれています。これらの製品の一部を歯科用として、用法性質改良して利用しています。このレジンを用いて歯の欠損部分の修復を行うことを、レジン修復といいます。レジンには歯冠色を出す目的で顔料が加えてあり、そのため欧米ではレジン充填のことを歯冠色修復とも呼んでいます。

 近年、歯の接着剤の開発や改良がなされ、またレジン材料自体の性質も飛躍的に向上しています。さらに、歯冠色修復という高い審美性を具現化した接着性コンポジットレジン修復は、前歯のみならず臼歯(きゅうし)奥歯)にもその適応範囲は拡大し、主要な充填法として一般的となりました。

②グラスアイオノマーセメント充填

 1970年ころ開発されたグラスアイオノマーセメントは、歯の色をしており、審美性にも優れ、適当な機械的強度や物理的性質をもちます。また歯と接着することや、フッ素を徐々に放出する性質もあります。グラスアイオノマーセメントは充填に限らず、冠などの合着用や小窩裂溝(しょうかれっこう)封鎖用(フィッシャーシーラント)などといった幅広い領域で適用されています。

③接着アマルガム充填

 アマルガムは、水銀と他金属との合金総称です。現在の歯科用アマルガムは、銀・スズ・銅を主成分とする合金粉末と水銀を練り合わせ、充填します。この合金は練和直後には泥状ですが、その後すぐに結晶となって硬くなります。この特性を利用することにより、簡易かつ安価な金属材料として、約100年以上も前から広い範囲の修復に応用されてきました。

 歯科用アマルガムはスズが含まれ、歯の接着材ともよく接着するため、近年、歯の接着材とアマルガムを同時応用した接着アマルガム充填も行われています。

羽村 章

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「充填」の意味・わかりやすい解説

充填
じゅうてん
filling; stowing

坑内採掘を行う炭鉱鉱山において,坑内に生じる空間を廃石,低品位鉱石,土砂などで詰めふさぐこと。最も重要なものの一つに採掘跡充填がある。金属鉱山においては,主として鉱石実収率の向上,切羽の維持,作業者の安全などをはかるほか,作業者の足場とするために行われる。炭鉱では,以上のほかに坑内の通気の確保,残存炭の自然発火防止,採掘による地表沈下の防止,坑内出水の防止などのため採掘跡充填を行う。充填は,その度合いにより完全充填,部分充填に,その手段により人力充填,機械充填,空気充填,水力充填などに区別される。特殊な場合を除き,最近の炭鉱の長壁式採炭においては,採掘跡の完全充填が行われないのが普通で,採掘跡と上下片盤坑道の境界付近に,廃石を下盤から天盤まで数mの幅で積上げて,帯状の部分充填を行う。これを岩巻きなどと呼ぶ。

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岩石学辞典 「充填」の解説

充填

岩砕性堆積物や堆積岩を構成する粒子が,互いに三次元的な位置と近接の程度を表す相互配列をいう語.粒子の容積を全体の容積に関係させて,様々な充填の指数が提案されている[Gratton & Fraser : 1935, Kahn : 1956].結晶学や鉱物学では,結晶構造内部の原子の配列に一般的に使用する語である.

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