改訂新版 世界大百科事典 「ガゼットドフランス」の意味・わかりやすい解説
ガゼット・ド・フランス
Gazette de France
1631年5月30日に,T.ルノードがルイ13世治下の宰相リシュリューを後ろだてにして創刊した新聞。当初は単に《ガゼット》と呼ばれ,1762年から《ガゼット・ド・フランス》と改称した。フランス大革命期まで,ルイ王朝の官報だった。なお,この《ガゼット》がフランス最初の新聞で,したがってルノードが〈フランスにおける新聞の最初の創刊者〉(ボルテール)だというのが長い間の定説だった。ところが第2次世界大戦後になって,スウェーデンの新聞史研究者ダールらの努力で,《ガゼット》の創刊より4ヵ月半早く,書籍出版業者ジャン・マルタンとルイ・バンドームが週刊紙《Nouvelles ordinaires de divers endroits》を創刊していたことが明らかになった(発見されたのは1631年7月17日付の第27号)。ただしフランス語新聞ということなら,カスパール・ファン・ヒルテンが,マルタンらより早い1618-20年ごろにオランダで,《Courant d'Italie et d'Armagne》を発行している。
執筆者:稲葉 三千男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報