日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルノード」の意味・わかりやすい解説
ルノード
るのーど
Théophraste Renaudot
(1586―1653)
フランスの新聞人、医師。モンペリエ大学で医学を学んだのちヨーロッパ各地を旅行、故郷のルーダンで開業、のちに宰相となる同郷のリシュリューを知った。1612年パリに出て国王付きの医師に任ぜられ、ついで貧民救済の役を担当し、質屋を開いたり、今日の職業紹介所にあたる事業を創設したりしたが、1631年5月週刊紙『ガゼット』を創刊した。国王の命によってこれ以前に発行されていた新聞は禁止されたので、その死後に至るまで『ガゼット』は市場を独占した。パリ大学医学部との争いで開業医の権利を奪われたが、『ガゼット』発行の権利だけはその子孫に受け継がれた。フランスの二大文学賞の一つルノード賞は彼の名にちなんで設けられたもので、1926年から授賞されている。
[伊藤慎一]