ガビアルモドキ(読み)がびあるもどき(その他表記)false gavial

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガビアルモドキ」の意味・わかりやすい解説

ガビアルモドキ
がびあるもどき
false gavial
Schlegel's garial
[学] Tomistoma schlegelii

爬虫(はちゅう)綱ワニ目クロコダイル科のワニ。別名マレーガビアル。クロコダイル科のなかでもとくに吻部(ふんぶ)が細長く、下あごの関節骨形状の共通性からガビアル属Gavialis、クチナガワニ属Mecistopsとともにガビアル亜科に含まれる。マレー半島ボルネオ島スマトラ島に分布し、全長4~5メートル、吻部は細長いが鼻骨は前上顎骨(がくこつ)と接する。淡水河川や沼にすみ、魚類や小哺乳類(ほにゅうるい)などを食べる。吻部の形状、体色斑紋(はんもん)がガビアルに類似するためよく混同されるが、吻端が八角形ではなく、歯数も上下のあごとも片側に20個(ガビアルでは上あご29個、下あご26個)ぐらいである。

[松井孝爾]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガビアルモドキ」の意味・わかりやすい解説

ガビアルモドキ
Tomistoma schlegelii; false gavial

ワニ目クロコダイル科のワニ。体長 3m内外であるが,5m近いものもある。背面は暗緑黄色または暗褐色で,胴から尾部にかけて暗色斑がある。吻部はきわめて細長い。後肢によく発達した蹼 (みずかき) をもつ。淡水生で,おもに魚類を捕食する。マレー半島,ボルネオ島,スマトラ島に分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のガビアルモドキの言及

【ガビアル】より

…ガビアルはヒンドゥー教徒によって聖なる神の使いとされてきたが,皮革用として密猟されまた卵が食用に供されるため,近年は生息数が激減し,政府の手で保護増殖が進められている。 マライガビアルとも呼ばれる東南アジア産ガビアルモドキTomistoma schlegelii(全長5m)は,外形や生態がガビアルに類似し,化石種の比較でもガビアルに近縁と考えられている。ワニ【松井 孝爾】。…

【クロコダイル】より

…性質の荒い大型種を含む爬虫綱クロコダイル科Crocodylidaeに属するワニ類の総称。アフリカ中南部,インド,熱帯アジア,ニューギニア,オーストラリア北部および熱帯アメリカの湖沼や河川の淡水に分布し,一部の種は海水中でも生活できメラネシア諸島に及んでいる。5属が含まれる。西アフリカ産の原始的なワニとされるコビトワニOsteolaemus tetraspisは,全長2m足らずの小型でおとなしいが,それ以外はすべて大型で性質が荒い。…

※「ガビアルモドキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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