日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガビアル」の意味・わかりやすい解説
ガビアル
がびある
Indian gavial
gharial
[学] Gavialis gangeticus
爬虫(はちゅう)綱ワニ目クロコダイル科のワニ。別名インドガビアル、ガンジスワニ。インドのインダス、ガンジス、マハナージ、ブラマプトラ各河川流域およびミャンマー(ビルマ)のイラワジ川下流域に分布する。現生種はガビアル属1種だけで、クロコダイル科のなかでもとくに吻部(ふんぶ)が細長い。鼻骨と前上顎骨(がくこつ)が接しない点で独立の科に分類されることもあるが、最近では化石種を含めクロコダイル科のガビアル亜科に入れられる。全長4~6.2メートル、吻部は現生ワニ中もっとも細長く、歯の数も最多で、片側の上あごで29個、下あごで26個ほどある。吻端は八角形で雄の外鼻孔はガーラとよばれるこぶ状隆起になっている。水中にいることが多く、長い吻部を横なぎにして魚の群れを襲う。本種はヒンドゥー教徒によって聖なる神の使いとされ、また水の神として保護されてきたが、皮や卵を求めて乱獲された結果著しく減少し、インドでは1975年から政府により保護増殖が進められている。
[松井孝爾]