日本大百科全書(ニッポニカ) 「キタガミトビケラ」の意味・わかりやすい解説
キタガミトビケラ
きたがみとびけら / 北上石蚕
昆虫綱トビケラ目キタガミトビケラ科の昆虫の総称、またはその1種。この科は、東アジアの一部に9種が知られているだけで、系統的にも特異なグループである。和名キタガミトビケラLimnocentropus insolitusは、日本特産の昆虫で、本州、四国に分布。成虫の体長約10ミリメートルで、はねは黒色。幼虫は川の上流域に生息し、巣は植物片を絹糸でつづり合わせてつくり、長さ約30ミリメートル。巣の上端に柄をつけ、それを流れの速い石面に固着させる。巣は吹き流しのように水流中に浮く。幼虫は前翅(ぜんし)の細毛で水を漉(こ)し、毛にひっかかった有機物を餌(えさ)にする。
[谷田一三]