… スペクタクル映画はグリフィス以来,ハリウッドのお家芸になって今日まで続いているが,全映画史を通じてその最大の推進者となったのが〈スペクタクルの巨匠〉の名をほしいままにしたセシル・B.デミル監督である(他方,フランスにはほとんど狂い咲きのように大スペクタクル映画をめざしたアベル・ガンス監督の孤高の存在がある)。1920年代には西部の開拓者たちを描いた《幌馬車》(1923),聖書に取材したデミル監督《十誡》(1923),古代ローマの歴史を描いた《ベン・ハー》(1926),キリストの生涯を描いたデミル監督《キング・オブ・キングス》(1927),第1次世界大戦における空中戦を描いた《つばさ》(1927)などがスペクタクル映画としてつくられた。30年代には,経済的不況による製作費の削減で前半はふるわず,セックスと暴力のメロドラマ的《暴君ネロ》(1932),デミル監督の見せかけだけの歴史スペクタクル《クレオパトラ》(1934),《十字軍》(1935)などでお茶をにごした程度だったが,半ばころからはベストセラー小説の映画化が盛んになり,ハーベイ・アレン原作による《風雲児アドバース》(1936),ジェームズ・ヒルトン原作《失われた地平線》(1937),パール・バック原作《大地》(1937),マーガレット・ミッチェル原作《風と共に去りぬ》(1939),ルイス・ブロムフィールド原作《雨ぞ降る》(1939)などがつくられた。…
※「キングオブキングス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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