日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギヤボックス」の意味・わかりやすい解説
ギヤボックス
ぎやぼっくす
gearbox
回転速度と回転力を段階的に変化させる歯車装置の総称で、一般的には自動車の機械式手動変速機。歯数の異なる歯車の組合せを組み替えて、エンジン回転を一定に保ちつつ車速を調節する装置。クラッチでエンジンとの連動を断ってから組み替えるが、回転速度の違う歯車をかみ合わせるのは容易ではない。このため乗用車では、あらかじめかみ合わせる歯車どうしの回転速度を同一にするシンクロメッシュ・ギヤボックス(同期かみ合せ式変速機)が普及している。
通常、乗用車のギヤボックスは3~4段変速だが、高出力エンジンをもった乗用車、スポーツカー、レーシングカーなどでは、有効トルク(回転力)の発生回転域が狭いので、5~6段変速のものもある。また燃費優先の今日では、トップを歯車比1以下の、いわゆるオーバートップにしたものも少なくない。高速道路の走行などではトルクよりも高回転が必要なので、ギヤボックスで増速してやる。大型トラックでは空車時と満載時の負荷の差が大きいので、5~6段の主変速機のほかに、軽負荷・高速用と、重負荷時および山岳用の高低2段の副変速機を備えたものもある。この場合だと前進10~12段となる。乗用車でもパワーレンジとエコノミーレンジの2段副変速機を備えたものがある。
[高島鎮雄]