日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマスズムシ」の意味・わかりやすい解説
クマスズムシ
くますずむし / 熊鈴虫
[学] Scleropterus coriaceus
昆虫綱直翅(ちょくし)目クマスズムシ科に属する昆虫。スズムシより小形で、より太めにしたような体長10ミリメートル内外のコオロギの一種。円筒形に近い体形で、全体につやのある黒褐色。触角は黒いが、中央部に黄白色の部分がある。頭頂は丸く、前胸も円筒形に近い。雄の前翅は、静止時、背面部は平たく楕円(だえん)形状で、発音鏡は大きい。雌の前翅は革質で短く、平行脈が目だつ。各脚(あし)の脛節(けいせつ)以下は黄褐色。後ろ脚の腿節(たいせつ)は太く、脛節の小さい棘(とげ)は先端ほど長い。雌の産卵管は短く、6ミリメートルほどの槍(やり)状であるが幅広い。本州(千葉県以西)以南、中国や東洋の熱帯に分布し、本州では年一化性で、成虫は8~10月に現れる。海岸地方の草むらの地表部や枯れ葉の下などにすみ、雄はリュリュリュ……、リューと鳴く。
[山崎柄根]