内科学 第10版 の解説
クリプトスポリジウム症,ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)(胆道寄生虫症)
病態生理
十二指腸,空腸,回腸に感染する病原性腸管寄生虫症であるが,免疫不全状態においては,逆行性感染によって,胆道炎を合併することがある.
臨床症状
繰り返す下痢と慢性胆道炎では,免疫学的背景と原虫感染の有無の確認が必須である.なお,クリプトスポリジウム症は慢性化しない.
診断
クリプトスポリジウム症は検便から囊子型(シスト),十二指腸液,胆汁からは栄養型(オーシスト)が確認される.ジアルジア症は検便から栄養型(オーシスト)および囊子型(シスト)が認められる.
治療
クリプトスポリジウム症はアジスロマイシン内服.600 mg/日分1,14日間.ジアルジア症ではメトロニダゾール内服.750 mg/日分3,5~7日間.[河上 洋]
■文献
生田修三,水口泰宏,他:駆虫剤の経皮経肝的胆囊内注入が有用であった胆囊内回虫迷入症の1例.日消誌,107: 768-774,2010.
大前比呂思,千種雄一:肝外胆道寄生虫症.別冊日本臨牀 肝胆道系症候群(Ⅲ 肝外胆道編),第2版(井廻道夫,他編集),pp489-496,日本臨牀社,東京,2011.所 正治:寄生虫性肝胆系疾患.肝胆膵,57: 565-570,2008.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報