家庭医学館 「クリプトスポリジウム症」の解説
くりぷとすぽりじうむしょう【クリプトスポリジウム症 Cryptosporidiosis】
ウシ、ネコ、ニワトリなどの腸内で繁殖したクリプトスポリジウムのオーシストという嚢子(のうし)(休止状態の原虫)を摂取することでおこる感染症です。
1997年の夏に、町営水道や給水施設を介したクリプトスポリジウム感染によって大規模な集団下痢(げり)症が発生したことで、水系感染症として注目されています。
[症状]
クリプトスポリジウム症の発症者は一般に年少児に多く、下痢と腹痛がみられます。
幼児や、エイズなどで免疫機能(めんえききのう)が低下した人に感染すると、下痢は激しく、ときに水様性下痢(すいようせいげり)とともに嘔吐(おうと)、発熱がおこり、重症化することがあります。
[検査と診断]
下痢便をしょ糖液浮遊法で処理して、オーシストが証明されれば診断がつきます。
[治療]
治療は対症療法的に輸液などを行ないます。サルファ剤などの服用もしますが、効果はあまり期待できません。
[予防]
流行が予測されたときには、水道水や井戸水は煮沸(しゃふつ)して使いましょう。また、汚染された河川では泳がないことです。