駆虫剤(読み)クチュウザイ

精選版 日本国語大辞典 「駆虫剤」の意味・読み・例文・類語

くちゅう‐ざい【駆虫剤】

  1. 〘 名詞 〙 害虫寄生虫を、駆除するための薬剤。駆虫薬。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

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病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「駆虫剤」の解説

駆虫剤

製品名
《アルベンダゾール製剤》
エスカゾール(グラクソ・スミスクライン)
《イベルメクチン製剤》
ストロメクトール(マルホMSD
《ジエチルカルバマジンクエン酸塩製剤》
スパトニン(田辺三菱製薬)
《ピランテルパモ酸塩製剤》
コンバントリン(佐藤製薬)
《プラジカンテル製剤》
ビルトリシド(バイエル薬品
《メベンダゾール製剤》
メベンダゾール(ヤンセンファーマ)

 寄生虫を直接死滅させたり、寄生虫に、まひ、けいれん、呼吸停止をおこさせたりする作用をもつ薬です。


 アルベンダゾール製剤は、包虫症ジエチルカルバマジンクエン酸塩は、フィラリア症の治療剤です。


 ピランテルパモ酸塩製剤は、蟯虫症ぎょうちゅうしょう回虫症鉤虫症こうちゅうしょう東洋毛様線虫症とうようもうようせんちゅうしょうこれらの寄生虫の混合感染症などいろいろな寄生虫病の治療に使われ、1回服用するだけで効果がある薬です。


 プラジカンテル製剤は、肝吸虫症かんきゅうちゅうしょう肺吸虫症横川吸虫症などの治療に効果があり、メベンダゾール製剤鞭虫症べんちゅうしょうの治療に効果があります。


 イベルメクチン製剤は、疥癬かいせん腸管糞線虫症に用い、高い駆虫率を示し、効果は長期にわたります。


 ピランテルパモ酸塩製剤メベンダゾール製剤は、服用後に下剤を使う必要はありません。


①薬によっては過敏症状(発疹ほっしん、かゆみなどのアレルギー症状)が現れることがあります。過敏症状が現れたら使用を中止し、医師に相談してください。


 メベンダゾール製剤では、ショック、アナフィラキシー、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死えし融解症、アルベンダゾール製剤では、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑こうはん汎血球減少症黄疸おうだん、肝機能障害、イベルメクチン製剤では、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、肝機能障害、黄疸、血小板減少、ジエチルカルバマジンクエン酸塩製剤では、発熱、リンパ節や陰嚢の腫れ、浮腫、かゆみ、疝痛、筋肉痛、皮疹、皮膚炎、失明の危険性、アレルギー性脳炎が現れることがあります。このような症状が現れたときは、使用を中止して、すぐ医師に相談してください。


 また、薬によって肝障害、物が黄色く見える、低血圧、血尿、黄疸、嗜眠しみん不眠、かゆみなどがおこることがあります。


吐き気嘔吐おうと下痢腹痛胃痛頭痛めまい倦怠感けんたいかん耳鳴り、発熱などが現れる薬もあります。


 ピランテルパモ酸塩製剤では、冷汗・多汗、かゆみ、じんましんなど、メベンダゾール製剤では、好中球減少、脱毛症、けいれん、肝機能異常が現れることがあります。このような症状が現れたときは、医師に相談してください。


①薬によって服用時間が違います。1日の服用回数と服用時間・1回の服用量については医師の指示を守り、かってに中止、増量・減量しないでください。


 薬によって、服用方法が違います。


 アルベンダゾール製剤は、食事とともに服用します。イベルメクチン製剤は、水だけで服用します。


 ピランテルパモ酸塩製剤は、食事と関係なく服用できます。


 医師・薬剤師の注意をよく聞いて、使用してください。


問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、使用前に薬の効果と副作用について医師・薬剤師からよく説明を聞き、注意事項をきちんと守ってください。


 とくに肝臓障害、けいれん、腎不全じんふぜんといった病気がある人、妊婦または現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳中の人は、原則として使用できません。ピランテルパモ酸塩製剤では、ピペラジン系駆虫剤を使用中の人は使えません。プラジカンテル製剤では、リファンピシンとの併用はできません。このような人は、あらかじめ医師に報告してください。


 また、栄養障害があったり、心臓病、貧血といった病気がある人は、あらかじめ医師に報告して、使用量を減らすなどの対策を講じてもらってください。


③薬を使用中は再感染することがあるので、ねまきや寝具はよく洗ってください。


④駆虫剤の服用後にひまし油を使うと、駆虫剤の毒性が強くなります。ひまし油以外の下剤を使用するようにしてください。


プラジカンテル製剤を使用中は、めまいをおこすことがあるので、自動車の運転などの危険を伴う作業は注意してください。また、脂肪の多い食事やアルコール飲料の摂取せっしゅはできるだけ避けてください。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「駆虫剤」の意味・わかりやすい解説

駆虫剤
くちゅうざい
anthelmintics

体内寄生虫を取除く薬の総称。 (1) 回虫駆除薬 サントニンが古くから賞用され,合成薬では,ヘキシルレゾルシンがある。 (2) 条虫駆除薬 メンマエキス,ザクロ皮。 (3) 十二指腸虫駆除薬 チモール,ヘノポジ油。 (4) 蟯虫駆除薬 ブトランがある。程度の差はあるが,いずれも毒性があるので,使用には細心の注意が必要である。

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