日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレブクール」の意味・わかりやすい解説
クレブクール
くれぶくーる
Michel-Guillaume Jean de Crèvecœur
(1735―1813)
アメリカの随筆家。フランス貴族の子としてカーンに生まれ、青年時代、フランス軍に入り、カナダに渡った。事情があって軍籍を離れ、ニューヨークに移住、アメリカの農場主として生活を送った。独立戦争が始まるとスパイの嫌疑を受け、一家離散のまま、故国へ帰る。のち、パリ社交界に入り、フランクリンの知遇を得て、フランス領事としてニューヨークに帰り、両国友好のために尽力する。1790年以降、フランスで余生を送る。ロンドンで出した英文の書簡集『アメリカ農夫の手紙』(1782)は当時のアメリカの農耕生活を通して、新興アメリカ社会の本質に鋭い洞察を加えた貴重なアメリカ文明論。そのほか『18世紀アメリカのスケッチ』『18世紀ペンシルベニアおよびニューヨーク旅行記』などがある。
[秋山 健]
『秋山健他訳『クレヴクール』(1982・研究社出版・アメリカ古典文庫)』