日本大百科全書(ニッポニカ) 「グジャラート人」の意味・わかりやすい解説
グジャラート人
ぐじゃらーとじん
Gujaratis
パキスタンに隣接するインド北西部のグジャラート州を中心に居住する人々。グルジャラ人ともよばれる。人口は約413万(1991)。起源ははっきりしないが、一説によれば、6世紀ごろフン人の跡をたどって北インドに侵入したという。しかしインド史家たちは、4000年前からの先住民族と考えている。長頭、長身で、人種的にはインド・アーリア系のヒンドゥーに属す。言語はインド・ヨーロッパ語族に属するグジャラート語で、サンスクリットに似た文字を用いる。マハトマ・ガンディーの著作の多くはグジャラート語で書かれた。ヒンドゥー教を信仰し、社会組織の特徴はブラフマンを頂点とするカースト制度にある。人口の約3分の2はワタの栽培などの農業に従事するが、鉱工業や漁業も発達している。ウシはヒンドゥー教徒にとって聖なる動物であり、と畜や食用とすることを禁じられている。そこで重要な動力源として耕作や灌漑(かんがい)、運搬などに使われ、さらにミルクはタンパク源となり、革は工芸品に、糞(ふん)は燃料や肥料にと、きわめて多面的に利用されている。
[片多 順]