ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラノフスキー」の意味・わかりやすい解説
グラノフスキー
Granovskii, Timofei Nikolaevich
[没]1855.10.16. モスクワ
ロシアの歴史学者。地主の子として生れ,ペテルブルグ大学に学んだ。卒業後ベルリンに留学,1839年帰国,モスクワ大学の世界史の教授に就任。同時にモスクワの進歩的知識人のサークルに入り,A.I.ゲルツェン,V.G.ベリンスキーらと親交をもった。農奴制,専制政治を憎悪し,教育の普及,個人の自由を主張,西ヨーロッパの中世史を扱いながら,巧みに専横,非開化主義,無教育を攻撃,歴史の進歩の思想を説いた大学での公開講義は絶賛を博した。また科学を生活に近づけることに努力し,社会の法則的発展を主張,スラブ派 (→スラブ主義 ) に反対してロシアと西ヨーロッパの歴史的発展の共通性を説いたが,終始穏健な西欧派右派の代表者としてとどまった。文学的著作は残さなかったが,常に文学界の中心にあり,多くの作家,とりわけゲルツェンとツルゲーネフに大きな影響を与えた。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報