日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラバー商会」の意味・わかりやすい解説
グラバー商会
ぐらばーしょうかい
幕末・明治初期、長崎を拠点に活動した在日イギリス人商社。設立者グラバーThomas Blake Glover(1838―1911)は1859年(安政6)に来日、ジャーディン・マセソン商会の長崎代理店に勤務、61年(文久1)5月に自立してグラバー商会を設立、ジャーディン・マセソン商会の代理店業務と並行して、自己勘定による貿易取引を開始した。62年2月アーノルド商会を吸収、同社の支配人グルームを共同経営者に迎え、2、3のパートナーを加えて商会の組織を拡充。取引内容は、発足当初は日本茶の加工輸出であったが、64年以降は艦船・武器輸入の取引を中心に業務内容を拡大し、不動産や通貨・地金の取引、金融代理的業務に及び、上海(シャンハイ)・横浜に支店を置いた。とくに幕府や西南雄藩の艦船・武器購入をめぐる取引には主要な地位を占め、また薩摩(さつま)藩の貿易計画や同藩士のイギリス留学の資金調達には重要な役割を果たした。70年(明治3)8月、破産により解散。
[加藤榮一]