地金(読み)ジガネ

デジタル大辞泉 「地金」の意味・読み・例文・類語

じ‐がね〔ヂ‐〕【地金】

めっきの下地や、加工材料となる金属。じきん。
生まれつきの性質本性。主として悪い意味で使う。「地金が出る」
[類語](2本性生地下地

じ‐きん〔ヂ‐〕【地金】

じがね(地金)

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精選版 日本国語大辞典 「地金」の意味・読み・例文・類語

じ‐がねヂ‥【地金】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 貨幣、器物などの材料となる金属。
    1. [初出の実例]「さりとては鉄鋼刀だぞ、生得じかねが吉に依て、終に徳山の磨刀石に乗らぬぞ」(出典:報恩録(1474)上)
    2. 「名剣に鍛(うつ)べき程の地がねなくて」(出典浄瑠璃・唐船噺今国性爺(1722)上)
  3. 鍍金(めっき)などをする土台の金属。
    1. [初出の実例]「錆込で地鉄(ヂガネ)へ廻ったから、つぶしにしかならねへ」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
  4. つつみかくしのないところ。ありのままの性質。本心。本性。性根
    1. [初出の実例]「恋はくせものみな人の、地がねをへらすやけくぎは、たたきなをいていけんして」(出典:浄瑠璃・心中刃は氷の朔日(1709)上)
  5. 演劇で、本気でものごとを行なうこと。実際の通りに行なうこと。
    1. [初出の実例]「両方がじれの来た勢ひだから龍虎の怒り真剣勝負。狂言を地鉄(ヂガネ)でするゆゑ、見物のどよみは鯨波(ときのこゑ)をあげて二町四方へ響渡ったといふはなしだ」(出典:滑稽本・客者評判記(1811)下)

じ‐きんヂ‥【地金】

  1. 〘 名詞 〙じがね(地金)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地金」の意味・わかりやすい解説

地金(金属材料)
じがね

原材料としての金属の総称。すなわち、その純度、成分のみに着目した金属材料の呼び名であるから、形状のいかんを問わないが、多くの場合鋳塊(インゴット)として利用に供される。したがって純金属、合金のすべてを含み、一次地金(製錬出地金)、二次地金(回収再生地金)の別や、不純物の含有量、純度などにより区別される。原材料としての使用上の便宜から、地金には成分規格が定められるのが普通である。日本工業規格(JIS(ジス))にも多くの地金規格が定められている。そして地金生産技術の進歩や用途の変化からの要請に従って、一定期間ごとに改訂される。

 以下にアルミニウム地金のJIS規格を示す。


●アルミニウム地金の化学成分(%)
〔特1種 空色〕
  分析元素 Si < 0.05
       Fe < 0.07
       Cu < 0.01
  管理元素
   Ti, Mn 各々 < 0.01
  合計     < 0.10
  Al      >99.90
〔特2種 緑〕
  分析元素 Si < 0.08
       Fe < 0.12
       Cu < 0.01
  管理元素
   Ti, Mn 各々 < 0.01
  合計     < 0.15
  Al      > 99.85
〔1種 黒〕
  分析元素 Si < 0.15
       Fe < 0.20
       Cu < 0.02
  管理元素
   Ti, Mn 各々 < 0.02
  合計     < 0.30
  Al      >99.70
〔2種 白〕
  分析元素 Si < 0.25
       Fe < 0.40
       Cu < 0.02
  管理元素
   Ti, Mn 各々 < 0.02
  合計     < 0.50
  Al      > 99.50
〔3種 赤〕
  分析元素 Si < 0.50
       Fe < 0.80
       Cu < 0.02
  管理元素
   Ti, Mn 各々 < 0.02
  合計     < 1.00
  Al      >99.00
(注:JIS H 2102による)

もっとも純度のよい特1種は、需要側の要求から新たに追加されたもので、主要不純物であるシリコン、鉄、銅は一溶解ごとにJIS分析法に従って分析し、管理元素については一定期間ごとに分析して表示することになっている。回収再生したアルミニウム二次地金についても同様に1種から6種まで、それぞれの成分について規定されている。

 ダイカスト用亜鉛合金塊のJIS規格では合金成分としてアルミニウム、マグネシウムのほか1種には銅を含む。合金の場合は原料地金や製造方法についても規定される。含有量の上限が定められている成分は製品の性能に影響する不純物元素で、その影響を抑制するため少量のマグネシウムを添加する。

[阿座上竹四]


地金(金属製品の材料)
じがね

貨幣、刀剣、細工物や器物などの金属製品をつくるときの材料となる金属、あるいはその下地に用いる金属をいう。また、めっきなどの土台にする金属をいうこともある。下地や土台にする地金は、普通、表面に現れることはないので、転じて、人間性格や本性をさす意味となり、うわべの取り繕いがはげて、ありのままの性質、とくにその悪い面が現れるときに、「地金を出す」「地金を現す」などと表現する。

[藁科勝之]

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デジタル大辞泉プラス 「地金」の解説

地金

金魚の品種のひとつ。後ろから見るとX型に見える尾が特徴。愛知県の名古屋地方で古くから飼育されてきた品種で、「四尾の地金」として県の天然記念物に指定されている。江戸時代初期に、和金の突然変異で尾が立ちあがったものを選別淘汰し固定化したものと伝わる。口先、鰓蓋、尾びれ、背びれ、腹びれ、胸びれの6箇所に赤が入る独特の柄(六麟柄)で知られる。特に体高があり、丸く太い三河地方産のものを呼び、尾張地方産の細くて体が長いものを「六鱗」と区別することもある。

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世界大百科事典(旧版)内の地金の言及

【製錬】より

…鉱石その他の原料から金属を採取,精製して地金(じがね)(金属材料の素材)を作ることをいう。地金以外に合金,純粋な化合物として採取することもある。…

※「地金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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