ある者が経済的に破綻して,その総財産をもってしては,弁済期にある債務を一般的に弁済できなくなった状態またはこのような状態におちいった債務者の総財産を強制的に管理換価して,総債権者に公平な金銭的満足を与えることを目的とする裁判上の手続をいう。裁判上の手続として破産という制度が設けられることの第1の目的は,債権者の公平を図ることである。債権者は,債務者に個別に請求して債権の回収を図るのが通常の形態であるが(民事訴訟や民事執行),債務者の財産が減少して弁済に不足するようになった後にも債権者の自由な権利行使を認めると,債務者の財産状態の変化に機敏に対応した債権者は満足を得られるが,立ち遅れた債権者は満足を得られないという不公平な結果を招く。このような場合には不足による損失も全債権者が平等に負担する形で債権者平等の原則を保障することが求められる。第2は,破産者の利益を保護するためである。破産宣告があると債権者は個別の請求を禁じられ,破産という一つの手続に集合されて集団的に法律関係を処理される。破産者は,個別に債権者に応対することから解放されるし,この機会に総財産を提供して債務を清算してしまえば,宣告後に新たに取得した財産は自由財産として破産手続の拘束を受けないから,これを利用して更正の機会をつかむこともできる。第3は,社会的な利益を守るためである。現在のように取引関係(債権者債務者関係)が複雑になると,一つの企業の危機が社会的に大きな影響を及ぼすことが多い。これを適切に処理することができれば,悪影響(たとえば連鎖倒産)を最小限に止めることができる。
破産制度は信用制度を前提にするのでその歴史は古く,日本でも江戸時代には〈分散〉の制度があり,近代には,1872年(明治5)には〈華士族平民身代限規則〉が定められた(身代限)。現行破産制度の直接の起源は,ローマ時代に端を発し,中世のイタリア都市法を経て西ヨーロッパ(フランス,ドイツ)で発達した制度である。日本最初の近代的破産法典は,90年に公布された旧商法第三編〈破産〉で,これは当時のフランス商法典の破産に関する規定を継受したものであった。それゆえ,商人に関してだけ破産を認める商人破産主義を採ったこと,破産原因が支払停止とされたこと,破産主任官の制度をおいたことなどフランス法的色彩が強かった。その後,他の法律の整備,改正に伴って破産法も全面改正され,1922年に新法が公布された。これが現行法である。同法は,商法典から独立した法典となり,商人・非商人の区別なく破産を認める一般破産主義を採用し,支払不能を破産原因とするなど,ドイツ法的色彩の強いものとなった。その後,第2次大戦後の52年,アメリカ法の影響を受けて,ヨーロッパ大陸では知られていなかった〈免責〉(後述)の制度が導入された(免責を認める立法主義を免責主義という)。ここに至って日本の破産法は,当初の商人社会における制裁・懲戒の制度から,一般の取引社会全体の中で債務者を救済する制度へと大きく変容した。それでも,破産法は,基本的には事業者を対象にしており,ごく最近まで,非事業者(給与生活者,主婦)の破産という例もまれであったため,〈救済〉という側面はそれほど現実的な問題ではなかった。ところが,78年ころから,消費者金融(とくにサラ金)で破綻した個人が,免責を求めて破産宣告を申し立てる例(自己破産)が急増し,現行法のもつ救済法的性格が一躍前面に現れることになった。反面,理論も実務も,この新しい展開に必ずしも十分に対応しておらず,解釈論上,運用上さまざまな問題があらわれている。
破産手続は,通常は,大きく,破産手続を開始するか否かを決定する手続(宣告手続),配当にあてる財産を確定してその原資を得る手続(破産財団の管理換価手続),配当を受ける債権者を確定する手続(債権確定手続),手続を終結するための手続(配当手続)とに分けられる。
(1)宣告手続 破産は,破産原因(支払不能・支払停止,債務超過。破産法126,127,129条)があるときに宣告される。宣告は,債権者のほか債務者または債務者に準ずる者(自己破産)の申立てに基づいてなされる(105,107条)。申立てに際しては,一定の費用を予納しなければならない(139条)。宣告を受けるためには,破産原因のほかに,宣告を受けることのできる資格(破産能力)を必要とする。現行法はこれをすべての自然人と私法人に認めている(一般破産主義)。公法人(公社,公団,公庫等)については原則的に破産能力を否定するのが多数説だが,最近では肯定説も現れている。申立てがあると裁判所は審理を開始するが,宣告前でも必要に応じて,人的・物的な保全処分をすることができる(155条)。審理は口頭弁論を開かないですることができ(決定手続,110条1項),破産原因・破産能力の有無が調査される。これらが欠けていれば申立ては棄却されるが,そうでなければ破産宣告決定が下される(126条)。宣告決定をするときは,同時に,付随処分として,破産管財人を選任し,債権届出期間,第1回債権者集会期日,債権調査期日を決定する(142条)。破産財団に属する財産が100万円に満たないときは,同時に,小破産(358~366条)の決定をし,また財産が僅少で手続費用さえ償えないときは,同時に破産廃止決定をする(145条)。宣告決定は公告され(143条),必要な登記が嘱託される(120~122条)。
(2)破産財団の管理換価 破産宣告があると,宣告時に債務者の有していた全財産は破産財団(法定財団。3,6条)として破産管財人の管理にゆだねられ,破産者はその管理処分権を奪われる(7条)。管財人は,まずこの価額を評価して財産目録を調整する(188,189条)。その結果は,第1回債権者集会で報告される(193条)。破産者の財産が破産財団となり,管財人の管理にゆだねられるということは,債務者と債権者の関係が破産財団と債権者の関係に置き換えられることでもある。そこで,従前の債務者・債権者の法律関係(契約,訴訟など)は,原則として解消に向けて一定の処理が行われる(53~71条)。また,破産財団として管財人が占有管理した財産(現有財団)の中には,他人の財産が含まれていたり,本来財団に属すべきであるのに不当に失われているものがありうる。前者については本来の権利者に取戻権(87~91条)を行使させてこれを財団から除き,後者については管財人が否認権(72~86条)を行使してこれを財団に回復する。こうして,法定財団に一致するように整理された財産が債権者に対する配当の原資となり,管財人は,一般の債権調査終了後,これを随時適当な方法で換価して(196条),配当にあてることになる。
(3)破産債権 債権確定手続 破産宣告前の原因に基づいて破産者に対して財産上の請求権(破産債権)を有する者は,破産債権者として,破産手続に参加して平等の満足(配当)を受けることができる(15条)。破産債権は,破産手続によってのみ行使することができる(16条)。ただし,〈特別の先取特権〉,質権,抵当権を有する者は,別除権(92~97条)を有するので,破産財団から優先的に弁済を受けられる。破産債権者が,同時に,破産者に対して債務を負担する場合には,相殺権(98~104条)を行使することができる。このような優先権を有しない破産債権でも,その内容は金銭債権であったり,特定物引渡請求権のような非金銭債権であったりするし,無条件のものや条件(停止条件,解除条件)が付されたものがあったり,期限もまちまちであったりする。破産法は,総債権者の平等な満足という観点から,これらのさまざまな債権を平等に処遇するために,すべて破産宣告時に期限が到来したものとし(17条),その内容もすべて一定の方法で評価して金銭債権化する(22,23条)ことによって等質化している。各破産債権はこのように金銭的に評価された額を基準として,平等の割合で弁済(配当)を受ける。例外的に,一般の先取特権等(これは別除権の対象とならない)を有する債権は優先的破産債権とされ(39条),破産宣告後の利息等は劣後的破産債権とされて(46条),公平が図られている。破産債権者が破産手続に参加するためには,定められた期間(債権届出期間)内に,債権額,原因,優先権の有無などを届け出なければならない(228条)。届け出られた債権は債権表に記載され(229条),債権調査期日における調査に付される(231条)。調査期日に,管財人や他の債権者から異議のない債権は確定し(240条),これらについての債権表の記載は確定判決と同一の効力を生ずる(242条)。異議のあった債権は,それが執行力ある債務名義を有するか否かによって,異議を述べた者からまたは述べられた者から債権確定の訴えを提起して確定が図られる(243~252条)。
(4)終結--(a)配当 一方で配当にあてられる金銭が得られ,他方で配当を受けることのできる破産債権者が確定すると,配当が行われる。破産管財人は,一般の債権調査終了後は,配当にあてるべき金銭が得られるごとに随時配当を実施する(中間配当--256,257条)。配当は,配当表を作成して公告し,配当表に対する異議の除斥期間を経た後に実施する。管財人が財産全部を換価しおえたときは,同じ要領で〈最後の配当〉を行う(272~280条)。配当が完了したときは,管財人は債権者集会の招集を申し立て,この集会で計算報告する。債権者集会が終結すると裁判所は破産終結決定をし(281,282条),これによって破産手続は終了する。この後でも,新たに配当すべき相当の財産が出てきたときは,追加配当を行うことがある(283~285条)。(b)強制和議 破産者は,手続中,いつでも,弁済の方法,提供できる担保などの和議条件を定めて裁判所に和議を申し出ることができる(290条以下)。この和議が債権者集会で法定多数(出席債権者数の過半数で届出債権額の4分の3以上)の同意によって可決され,裁判所の認可が得られたときにも,破産終結決定が下されて手続が終結する(324条)。これを強制和議という。(c)破産廃止等 配当や強制和議と異なり,破産の目的を達しない終結をもたらす裁判所の裁判を破産廃止という。破産宣告と同時にする廃止(145条)のほかにも,宣告後の手続中に破産財団が不足して手続費用を償えなくなった場合の異時廃止(353条),債権者の同意に基づく同意廃止(347条)がある。このほか,破産宣告が即時抗告に基づいて取り消された場合にも手続は終結する。(d)会社更生 株式会社では,破産法に対して会社更生法が優先的に適用されるので,破産宣告後でも会社更生手続を開始することができ(会社更生法67条),更生手続により可決された更生計画が裁判所で認可されると,更生手続終結決定をまたずに破産手続は当然に終結する(246条)。
(5)免責 破産者は,破産手続の解止(終結,廃止,取消し)に至るまで,いつでも裁判所に免責の申立てをすることができる(破産法366条ノ2)。申立てがあると,裁判所は期日を定めて破産者を審尋し,管財人の調査報告を聴き,利害関係人にも異議を述べる機会を与えるなどして,免責不許可事由(366条ノ9)の有無を調べる。これがなければ,免責許可の決定をする(366条ノ4~366条ノ8)。免責許可決定が確定(366条ノ11)すると,破産者は,破産手続による配当を除いて,破産債権者に対する債務の全部についてその責任(弁済)を免れる(366条ノ12)。破産者が不正の方法で免責を得たことが発覚したときは,免責が取り消されることがある(366条ノ15)。
(6)復権 破産宣告を受けると,たとえば弁護士,公認会計士,後見人,信託受託者などになる資格を失う。しかし,破産者も,免責の許可,強制和議の成立,同意破産廃止,破産宣告後10年の経過などによって,喪失した資格を回復する(366条ノ21)。これを復権(当然復権)という。当然復権を得られなかった破産者は,弁済その他の方法で破産債権者に対する債務の全部について責任を免れたことを証明して,破産裁判所に申し立てて,その裁判によっても復権(申立てによる復権)することができる(367条)。
(7)破産犯罪 破産法は,その制度の目的を達成するために,債務者その他の関係人の不正な行為や破産手続の公正な実施を妨げる行為に罰則をもって臨んでいる。これが破産犯罪である。破産犯罪は破産法に規定されているが,特別刑法として刑法総則の適用を受け,事件は,検察官の公訴提起に基づいて刑事訴訟法に従って審理される。債務者またはこれに準ずる者について詐欺破産罪(374,376条),過怠破産罪(375,376条)があるほか,第三者についても詐欺破産罪(378条),管財人,監査委員について贈収賄罪(380,381条),その他監守等違反罪(377条),説明義務違反罪(382条)などがある。
執筆者:西澤 宗英
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
債務者が経済的に破綻(はたん)して、その弁済能力をもっては、総債権者に債務を完済することができなくなった状態に対する法的手段として、強制的にその者(破産者)の全財産を裁判所の選任する破産管財人が管理換価して、総債権者に公平な金銭的満足を与えることを目的とする裁判上の手続をいう。多数の債権者が競合する場合に弁済に充当すべき資産が不足するときは、特別の権利保護の方法が必要となるのであって、破産手続は、この要請に対応するものである。このような手続を規律するために、破産法(大正11年法律第71号)が制定されたが、同法は2004年(平成16)に全面的に改正された(平成16年法律第75号)。
[内田武吉・加藤哲夫]
破産手続は、原則として債権者または債務者から、債務者の居住地などの地方裁判所に破産手続開始の申立てをしたとき(破産法4条~7条、15条以下)に開始される。裁判所は、まず費用を予納させ(同法22条)、必要に応じて保全処分など(同法24条以下)をしたうえで、原則として民事訴訟法にのっとって審理し(破産法13条)、破産手続開始の原因がないと認めるときは申立てを棄却し、破産手続開始の原因があると認めたときは破産手続開始の決定をする(同法30条以下参照)。破産手続開始の決定と同時に裁判所は破産管財人を選任し、債権届出(とどけいで)の期間、財産状況を報告するための債権者集会の期日、債権調査期間などを定めてこれらの事項を公告し、所定の通知および破産手続開始の登記を嘱託しなければならない(同法32条、257条、258条。なお、登録については同法262条)。
債務者は、破産手続開始の決定と同時に破産者となり、破産財団所属財産に関して管理処分の権能を失う(破産法34条、78条1項)ほか、居住地を離れることの制限(同法37条)、引致(同法38条)などの処置を忍受し、説明義務(同法40条)、重要財産開示義務(同法41条)を負うなど、身上に種々の拘束を受けることになる。破産者が破産手続開始後に自らの事業や労働などによって取得した財産の処分は自由である(自由財産)が、破産手続開始の当時所有していた財産は破産財団を構成し、破産管財人が裁判所の監督の下で管理処分を行うとともに、その占有管理にあたることとなる(同法34条1項、75条、78条1項、79条)。
破産管財人は、破産手続開始の当時破産者と相手方の双方がともに履行を終えていない双務契約を解除しまたは履行を求めることができる(同法53条)。その他破産手続開始前後にわたって破産者のなした法律行為の効力などについては特別の規定(同法47条~51条)によって定められている。破産手続開始前の原因に基づいて生じた破産者に対する財産上の請求権は破産債権となり(同法2条5項・6項、97条以下)、債権者は所定の期間内に債権を届け出て、裁判所書記官はこれに基づいて破産債権者表を作成することとなる(同法115条)。
届出のあった破産債権の存否などについて、調査が行われなければならない。調査は、原則として、所定の債権調査期間内に届出のあった債権の存否やその額などについての破産管財人の認否、届出破産債権者の異議の有無による。破産管財人が届出破産債権を認め、または届出破産債権者の異議がなければ、届出の通り破産債権は確定する(同法124条1項)。破産管財人が届出のあった破産債権を認めずまたは他の届出破産債権者から書面による異議のあったときは、異議が述べられた破産債権者は、破産管財人または異議を述べた者を相手として、査定申立てをすることができる(同法125条1項)。なお、破産管財人が認めずまたは他の届出破産債権者から異議を述べられた破産債権が、執行力ある債務名義または終局判決などを有する有名義債権であるときは、破産管財人または異議者は、その破産債権者を相手として破産者がすることのできる訴訟手続によってのみ異議を主張することができる(同法129条1項)。
債権の調査が終わると、破産管財人は破産財団の財産について換価を行う(同法184条)。その過程では、破産者が破産手続開始前に財産減少などの行為をしたときは、否認権を行使して財産の回復を図り(同法160条以下)、第三者から取戻権の行使があったときは、破産財団のなかから破産者に属さない財産を別離して取戻権者に財産等を返還する(同法62条~64条)。また、破産財団のなかから財団債権を随時に弁済する(同法2条7項、151条)。
破産管財人は以上の手続の途中でも配当表を作成して、適宜その破産財団を各債権者の債権額の割合に応じて中間配当することができ(破産法209条以下)、最後に残った配当財団のなかから、裁判所の定める破産管財人の報酬(同法87条)を差し引いた残額を債権額の割合に応じて債権者に最後配当をし(同法195条以下)、またその後に配当にあてるべき財産を生じたときは追加配当をする(同法215条)。配当が終わると、破産管財人の計算報告を目的とする債権者集会(同法88条4項)終了後、または計算報告についての異議申立ての期間(同法89条2項)が経過したときは、裁判所は破産手続終結の決定をして、その旨を公告する(同法220条)。これにより破産手続は終了する。破産手続が終了する場合には、以上のほか破産財団の不足、総破産債権者の同意などによる破産手続の廃止(同法217条、218条)がある。
[内田武吉・加藤哲夫]
破産手続は、全債務の完済のためには足りない資産を換価して、総破産債権者に対しその債権額の割合に応じて弁済することを目的とした手続であるので、破産債権者は全額の弁済が受けられないことを前提としている。破産手続が終結した後に破産債権の残額について、破産者の破産手続開始後に取得した財産に対して破産債権者の権利行使を認めると、破産者の経済的再起は不可能になるおそれがある。そこで、1952年(昭和27)に英米法体系の破産制度にある破産免責の制度が旧破産法に導入され(旧破産法366条ノ2~366条ノ20)、それは現行法に引き継がれている(破産法248条以下)。
この制度では、破産者に一定の不誠実な行動のない限り、破産者の申立てにより裁判所は免責許可の決定をする(同法252条1項)。免責許可の決定が確定すると、破産者は破産債権者に対する残額債務についての責任を免れる(同法253条1項本文)。しかし公益的見地から、租税、不法行為に基づく損害賠償義務、雇用関係に基づく給料債権などは免責されないし(同法253条1項但書)、破産免責の効力は破産者の保証人などの債務についても影響を及ぼさない(同法253条2項)。
また、破産手続開始の決定があると破産者は一定の公的資格につくことを制限される。それらに関しては、たとえば民法第847条3号・第852条、信託法第56条1項3号、公証人法第14条、弁護士法第7条5号、公認会計士法第4条4号、弁理士法第8条10号、国家公務員法第5条3項1号などの規定がある。持分会社については、その社員は破産によって当然に退社となるし(会社法607条1項5号)、破産法上の犯罪を犯し有罪判決を受けた後一定の期間を経過していない者は株式会社の取締役となることができない(会社法331条1項3号)。また、取締役が破産手続開始の決定を受けたときはその地位を喪失する(民法653条2号)。しかし、破産という一事だけで破産者に対する公的資格その他を制約することは、破産者が再起を図るうえで障害となろう。そこで、1952年に、旧破産法において破産免責とともに、復権の制度が導入された(旧破産法366条ノ21~373条)、それは現行法にも引き継がれている(破産法255条以下)。破産免責許可の決定の確定などにより破産者は当然に復権し(同法255条1項)、また、破産債権全額につき弁済などの方法により責任を免れた場合には、復権の申立てにより復権の決定を得ることができる(同法256条1項)。
なお、破産に至る前の段階において破産を防止し、債務者の経済的再起を容易ならしめる制度として、個人、法人を問わず民事再生法(平成11年法律第225号)による民事再生手続があり、また株式会社については会社更生法(平成14年法律第154号)による更生手続がある。
[内田武吉・加藤哲夫]
『加藤哲夫著『法律学講義シリーズ 破産法』(2009・弘文堂)』
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(本庄真 大和総研監査役 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…強制執行をしてもその債務を弁済する資力のない債務者に対して,裁判所が家資分散者である旨を宣告し公示する制度。フランスのデコンフィチュールdéconfitureに倣い1890年の家資分散法により制定され1922年の現行破産法によって廃止されるまで行われた。家資分散の対象は,当時の破産制度(1890公布,1893施行の旧商法破産編)が破産宣告の対象を商人に限っていたこと(いわゆる商人破産主義)に対応して,こちらは非商人とするというのが立法者の考えであったようであるが,実際には商人についても行われた。…
…具体的には,(1)決済資金の裏づけがないため不渡り(その手形,小切手を不渡手形という)を出した法人または個人企業が6ヵ月以内に2回目の不渡手形を出して銀行取引停止処分を受けることにより表面化することが多い。そのほか,(2)会社更生法の適用を申請したり破産申請をしたとき,(3)商法381条による会社整理,和議法による整理状態になったとき,(4)債権者会議を開催し内整理(これは法律によるものではない)を行ったとき,を倒産というが,倒産という言葉は法律用語でも学問用語でもない。ただし中小企業信用保険法には倒産という言葉が用いられている。…
…江戸時代における破産をさす語。割賦(割符)(わつぷ)ともいう。…
※「破産」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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