改訂新版 世界大百科事典 「グラーネ」の意味・わかりやすい解説
グラーネ
Johannes Gabriel Granö
生没年:1882-1956
フィンランドの地理学者。ドルパート,ヘルシンキ,トゥルクの各大学教授を歴任,地形学と地理学本質論について多くの業績をあげた。ロスベルクの指導で地理学を専攻したグラーネは,フィン・ウゴル協会の援助のもとに南シベリア山地や北モンゴル,アルタイ地方を調査し,《北西モンゴルと南シベリア山地の氷河期考》(1910)で学位を取得,さらに《アルタイ山地の地形とその成立》(1917)と《北東アルタイの地体構造》(1945)を公刊。一方,ドイツ地理学の本質論に影響されて科学体系における地理学の位置について考究し,《純粋地理学》(1929)をはじめ一連の論考を発表し,地理学を〈人間の感覚的に認知しうる所与のものについての科学〉,すなわち景観形態学と規定したうえで,その分析と総合について厳密な科学的立場を確立した。その影響はフィンランドだけでなく,20世紀前半のヨーロッパ地理学界に及んだ。
執筆者:水津 一朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報