大学事典 「グレート・ブックス」の解説
グレート・ブックス
アメリカ合衆国の大学教育や成人教育において,主として西洋文明・文化の伝統や価値を学ぶことを目的として選抜・集成された古典的名著集。内容が西洋の古典に限定されない場合,さらに議論の題材として批判的な読み方が推奨される場合がある。大学教育のプログラムとしてその重要性が強調されるようになったのは,専門分化した諸科学の進展によって大学教育の多様化や選択制が進んだことによる。その嚆矢は,1920年にコロンビア大学でジョン・アースキン,J.(John Erskine)が指導した「ジェネラル・オーナーズ・コース(アメリカ)」である。さらにそこで学んだモティマー・アドラー,M.(Mortimer Adler)が,1930年代にシカゴ大学でロバート・ハッチンズ(Robert Maynard Hutchins)とともに実践したプログラムも有名である。この実践から派生して,セント・ジョンズ・カレッジ(アメリカ)では学士課程全体が必修制のグレート・ブックス教育で構成されるという独特のプログラムが発展し,現在に至っている。
著者: 松浦良充
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報