グレート・ブックス

大学事典 「グレート・ブックス」の解説

グレート・ブックス

アメリカ合衆国の大学教育や成人教育において,主として西洋文明・文化の伝統や価値を学ぶことを目的として選抜・集成された古典的名著集。内容が西洋の古典に限定されない場合,さらに議論題材として批判的な読み方が推奨される場合がある。大学教育のプログラムとしてその重要性が強調されるようになったのは,専門分化した諸科学の進展によって大学教育の多様化や選択制が進んだことによる。その嚆矢は,1920年にコロンビア大学でジョン・アースキン,J.(John Erskine)が指導した「ジェネラル・オーナーズ・コース(アメリカ)」である。さらにそこで学んだモティマー・アドラー,M.(Mortimer Adler)が,1930年代にシカゴ大学でロバート・ハッチンズ(Robert Maynard Hutchins)とともに実践したプログラムも有名である。この実践から派生して,セント・ジョンズ・カレッジ(アメリカ)では学士課程全体が必修制のグレート・ブックス教育で構成されるという独特のプログラムが発展し,現在に至っている。
著者: 松浦良充

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のグレート・ブックスの言及

【ハッチンズ】より

…ブルックリンに生まれ,イェール大学で文学,法学を修めた後,教壇に立つかたわら,法曹界や実業界でも活躍した。シカゴ大学学長在任中に,自然,社会,人文の諸分野を包括する古典名著120冊を選んだ〈グレート・ブックスGreat Books〉による教養教育を提案し(1931),今日の大学の一般教養課程のあり方に大きな影響を与えた。トマス・アクイナスの研究から,形而上学的世界観・人間観に基づく教育論を説いたが,アメリカ教育思想上は,文化的遺産を重視する〈エッセンシャリストessentialist〉の立場に立ち,同時代のプラグマティズムや新教育に対する批判者でもあった。…

※「グレート・ブックス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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